5年前と言えば,僕が近畿大学に異動してきた年である.九州大学から一緒ついてきてくれた3人の学生とともに私大という未知の環境でラボを一から立ち上げるため,四苦八苦していた.この3人がいたおかげで,どれほど救われたことか.今はみなラボを去り,研究者や会社員としてそれぞれサイエンスに携わりつつ,自身の道を進んでくれている.そして,僕は相変わらず悪戦苦闘しながらも,5年前にはまだ高校生だった学生に囲まれて,何とか研究を続けられている.毎年卒業研究のために10人前後学生を一人で面倒見る.学生の数だけ,毎年卒研テーマを考えなければならない.当初はそんなの無理!と思っていたが,5年たって振り替えると,結局毎年新しいテーマを考えているわけではないことに気づく.
近年のRNA分野の流れは驚異的なほど速い。piRNAやlncRNAでRNA研究の盛り上がりが最高潮に達したかと思ったのもつかの間(もちろんこれらのRNAは今もホットである)、circRNAやらRNA epigeneticsやら液―液相分離やら、続々と新しいキーワードが飛び出してきて著名ジャーナルの目次を飾っている。CRISPR-Cas9や次世代シークエンスの発展がこの流れに大きく貢献してきたのはいうまでもない。私がポスドク時代に身につけた知識(microRNA、ZFNやTALEN、マイクロアレイ)はすでに過去のものとなり、自身をアップデートし続けなければあっという間に取り残されてしまう。ここ数年は、知識と技術が爆発的に拡大する時代に居合わせる高揚感と、焦りと不安が同居したような時間を過ごしてきた。思えば論文もコンペティションになってばかりで、自分のタイミングで投稿した記憶があまりない。のんびりしがちな自分には必要な緊張感なのかもしれないが、研究の底が浅くなっていくような気もしている(そもそも元から深みはない)。
新学術領域ノンコーディングRNAネオタクソノミでは大変お世話になりました。
上記のお題を頂きまして、しばし考えてみました。
平成の時代も間もなく終わる。エッセイのお題に従って、5年前と何が変わっただろうと考えていたら、思いが突然30年前に遡ってしまった。今から30年前、そうちょうど昭和の時代が終わろうとしていた時である。思い出はなぜか祇園花見小路のBar Fへと飛ぶ。その夜私は何人かとFで飲んでいた。テレビは昭和天皇の最後の闘病を刻一刻と伝えていた。そんな時に飲むなんて不謹慎な話だが、私はその日博士論文を提出したはかりだったので許してほしい。サバティカルに来ていたGroup I intronの研究者David A Schubという人も一緒だったような気がする。彼が昭和天皇のことをvery strong manと言っていたのを何となく覚えている。他に誰がいただろう。
1月も終わりとなりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
5年前という事で、2014年のメールを読み返してみました。すると、驚くほど、現在(2019年)と同じような内容のメールを送っており、問題意識が、どうも5年間であまり変わっていないようである。 矢野真人さんのいう所の臨界期をとうに超えてしまっているのかもしれません。
そんな中、長年かけた仕事がまとまったのは、筆頭著者の増渕岳也さんの頑張りもさる事ながら、所属研究室の上田卓也先生、原田慶恵先生の寛大な御指導、指導教官の船津高志先生の御協力、そして、泊さん、廣瀬さん、中川さんを初めとし た、本領域の多大な御支援の賜物であります。関係者の皆様の、5年間の変わらぬ御支援に感謝致します。
このような経緯で、「人狼ゲーム/汝は人狼なりや? (Are You a Werewolf?)」にインスパイアされ、ラボミーティングのためのオリジナルゲーム「汝は王なりや? (Are You a King?)」(仮称) を考えた。
▶ 基本ルール
カードを引いて、ランダムに赤・黒2チームに分かれる。それぞれのチームには、「王」が1人いるが、それが誰なのかは分からない。「王」は、ミーティング中のどこかで、必ず1度は質問をしなければならない。最後に、それぞれのチーム内で相談し、相手チームの「王」が誰なのかを予想する。相手チームの「王」を当てたチームが勝ち。
臨界期とは、神経回路網の可塑性が一過的に高まる生後の限られた時期であり、生涯にわたる学習とは一線を画する、とあります。今回のブログのお題、5年前と変わったこと、変わらないこと。さて5年というと我が家では、子供が1歳から6歳、4歳から9歳へと成長しました。子供は、出来ないことが出来るようになったり大きな変化、進歩だらけです。一方、私は、変わってない、進歩してない?子供と相対的な比較では老化を除いて明らかに変わってないに類するところですが、さてどうでしょう。
この5年間を振り返ってみると、大きく変わったことと言えば、勤務場所が産総研に変わったことと、これまで温めてきた研究成果がやっといくつか論文の形になり、日の目を見たことでしょうか。これまで一貫してエピジェネティックな現象、特にX染色体の不活性化に興味を持って研究を続けています。少し研究のインキュベーションの時間が長い欠点がありますが、動物を使う実験が主なので時間がかかってしまうという理由(言い訳?)があります。
この5年の変化、変わったこと変わらなかったこと、、、
振り返ってみても、基本的な部分は変わっていないなと感じます。研究の楽しさも、興味を覚えることも、人とずれているところも、、、