2016年02月29日(月)

Keystone 参加報告

投稿者:

東京大学分子細胞生物学研究所泊研究室博士2年の新沼 翔と申します。

2016年1月24日〜29日に、アメリカ、コロラド州キーストーンで開かれましたKeystone symposia (Small RNA Silencing: Little Guides, Big Biology) に、領域からサポートを頂いて参加させて頂きましたので報告致します。

まず出発前に驚いたのは、学会に参加登録すると学会専用のスマートフォンアプリが配布されることです。このアプリには予定や要旨が載っているのはもちろん、検索をかけたり自分の気になった講演やポスターを登録しておくこともできるのでとても重宝しました。

会場は成田から飛行機で11時間、バスで2時間、かの有名なロッキー山脈の中にあるリゾート施設でした。1月24日夕方に会場に到着し、25~28の4日間で講演とポスター発表、29日の朝会場を出発、という行程でした。講演とポスター発表の4日間は朝8時から夜22時までとなかなかのストイック設定だったなと思います。

今回の学会はアメリカの未曾有の大雪のため、主に東海岸の方々が参加を断念せざるを得なくなるという大変残念な出来事もありましたが、それでも論文の名前でしか見たことがなかったようなsmall RNA研究における”スーパースター”たちがいらしていました。RNAiの発見者としてノーベル賞を受賞したFire氏とMello氏もいらしていました。Mello氏は発表の最初に自身がスキーをしている動画を紹介し「人生を楽しむからこそいい研究ができる」という信条を語っていました。彼は今もセンチュウを用いて研究をしているそうです。一方Fire氏はCRISPRに興味があるらしく、湖から微生物を採取して面白い性質を持つCRISPRがないかをスクリーニングしているそうです。

今回の学会は11セッションあり、1セッション6~8演題ほどありました。それらのうちpiRNAの演題が最も多かったと思います。piRNAの3’末端の形成やヘテロクロマチンから生じるpiRNAの話などを聞き、ある分野が進むときは一気に進むものなのかなと思いました。また、今回は2人のノーベル賞受賞者をお迎えしていたからか、センチュウの演題も多かったです(センチュウのためのセッションが用意されていた)。それと植物のsmall RNAも多かったと思います。植物で印象に残ったのはAxtell氏の発表です。ネナシカズラという寄生植物を用いて宿主と寄生生物間のsmall RNAを用いた攻防に関する研究を発表していました。ネナシカズラという植物を聞いたことがなく、あるコンセプトを証明するために他のひとが使わないような生物を探してきて研究してしまうという発想と行動力はすごいなと思いました。

私自身はポスター発表を行いました。私の研究内容は泊さんが発表して下さったので、ポスターにはちらほら聞きに来てくれる程度でしたが、それでもやはり聞きにきて下さった方とディスカッションすると的確な指摘や質問が入り、講演者だけでなく参加者からもレベルの高さを感じました。

さて、コロラドと聞いても思い当たるものもなく、事前に軽く調べても観光スポットなどがヒットしなかったので、今回は学会会場から出ることもないかも、と半ば覚悟して参加したのですが、このリゾート施設は予想よりもはるかに大きく、湖が凍ったスケートリンクやスキー場などを所有し、様々なアクティビティが楽しめるようでした。学会会場には論文や広告の他にアクティビティに関する案内も多く置かれており、3日目には大型の休憩タイムもあったことから、リゾートを楽しむことも推奨されているようでした。ので、行ってきました、スノボ!!

スキー場にて(右が著者)

ロッキー山脈の雄大な景色を眺めながらスノボができる日が来るなんて、人生って何があるかわからないですね(スノボ下手くそなんですけどね)。頑張って実験して発表できるだけのデータ揃えた甲斐があったなぁ、と尻餅をついた雪の上で思いました。と同時に、今後も頑張っていこうと英気を養うことができました。

スキー場から雄大な山々を見渡せる

科学的にも私的にも充実した時間を過ごすことができました。助成をして下さった領域の皆様に深く感謝申し上げます。またこの学会をオーガナイズした泊さん、本当にお疲れ様でした。

新沼 翔

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