2017年08月03日(木)

RNAと走ること

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「やっぱりRNAってすごい!」神戸でのRNAネオタクソノミ領域会議と北海道での内藤記念科学振興財団主催のncRNA会議に参加して、私の頭に繰り返し浮かんだのはこの言葉だ。もちろん発表された先生方のプレゼンや研究がすごいのだが、どんどん広がりをみせるRNAの世界に思いを馳せ、帰りのバスの中で研究アイディアを練りながらひとりほくそ笑むのも心地良かった。

RNAに対する興味は学生の頃から尽きない。何気なく学部の授業を受けていた時に黒板にかかれた「RNAワールド」という言葉。授業の内容は全くちんぷんかんぷんだったが、この言葉になんとなく魅せられて東大工学部の渡辺公綱先生の研究室配属を希望した。それ以来紆余曲折をえて、今京都大学のiPS細胞研究所でRNAに関わる研究ができるのは、今まで出会った人たちのおかげだと心から思う。

話は大きく変わるが、私は今「走ること」にチャレンジしている。具体的には今年の11月の大阪マラソンにエントリーして、完走をめざしている。去年大阪マラソンにチャレンジした時は、30キロから全く足が動かず、しかも両足のふくらはぎと太もも全てがつるという初めての経験で、リタイアを決意して係のお兄ちゃんに「足がつって動かない」とアピールし道路の端に座り込んだ。お兄ちゃんは私をちらっと一瞥し(この根性無しが、という視線であった気がする)、そのままどこかへ行ってしまった (私の声が聞こえていなかっただけかもしれないが、、、)。私はおいおいおいと思ったがしかたないので残りの道を歩きながら沿道の大阪のおばちゃんにコールドスプレーとコーラとあめちゃんをもらいながらなんとかゴールした。今思うとゴールできたのはあの根性なし目線お兄ちゃんと大阪のおばちゃんのおかげだ。でも歩いてゴールするのは「完走」とはちょっと違う気がするので、今年はなんとか走り続けてゴールしたい。その思いでiPS細胞研究所のチャリティランナーに登録した。このチャリティ制度は自分の目標を掲げて、サポーターから70,000円以上寄付を集めると走ることができる(いただいた寄付金は、研究活動の支援などに充当される)。これを書いている現在、24000円集まった(実は20000円は最初に自分で支払っているのだが、、、)。去年初めてみてわかったのだが、中々寄付金を集めるのは難しく、北海道のncRNA会議に行くまで自分の寄付分のみだったが、本領域の中核として活躍されている元渡辺研のメンバーの皆さんにまだ寄付金を集められていないと話すと、皆快く寄付していただいた 。さらに、「このブログでお願いしてもいいんじゃない?」というあたたかいお言葉もいただいた(真に受けた)。不屈のRNAネオタクソノミ精神で頑張れ!と応援して頂ける方は、下記JAPAN GIVINGサイトからアクセス、ご寄付していただけるとありがたいです (https://japangiving.jp/fundraisings/33045)。

話が大分それてしまったが、RNAの研究も走ることも途中で息切れしないように自分のペースをわきまえつつ、でも時には大胆に、限界の先に挑戦してみたい。去年まで走れなかった急な坂道を上りきれた時には、今まで予想すらしなかった景色が視野一面に広がるかもしれない。本領域で知り合った方々との共同研究を通じて興奮するRNA研究を進められたら、それに勝る喜びはない。これからどうぞよろしくお願いします!
 

齊藤 博英

京都大学 iPS細胞研究所 教授
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