話はさらに遡るが、私が大学を卒業して研修医になった時、はじめてPowerBookを買った。インターネットや電子メールの黎明期で、まだノートパソコンにネット接続機能など無かった頃だ。この頃から患者サマリーも手書きからPC作成へと移行し、今はなきクラリスワークス(Wordに相当)の使い方を覚えた。同じく学会での症例報告用のスライド作成もPC作成となり、Persuation (PowerPointに相当)を使いこなすのに必死だった。その後大学院生となって研究をはじめた事から、また新たなソフトの使い方を沢山覚えなくてはいけなくなった。その1つがGENETYX-MACだ。GENETYX-MACやMacVectorなどは、当時の分子生物学の基本アイテムの様なもので、プライマー設計、制限酵素サイトの探索、相同性解析などに頻用された。今は、GENETYX-MACもMacVectorもOS Xで作動する上、そもそもこういった解析が可能なフリーのソフトやサイトも沢山あるので、どの程度の方が使っているのか分からない。しかしこの GENETYX-MACこそが私のお気に入りだ。ずっと見慣れているせいだと思うが、とにかく使いやすい。他の解析ソフトを使う気になれない。ただ、このGENETYX-MAC、大学院生の時に入手したものなのでOS 9でしか作動しない。今更OS X用を購入する気にもなれない。冒頭に書いたように困っていないからだ。この他にも、統計解析ソフトStatView、プライマーデザインソフトPrimerExpressIなどなど、どれもOS 9でしか作動しないが、いずれも現役である。これらのソフトは、2004年に購入したPowerBook G4 (OS XとOS 9の両方が組み込まれている)でしか使えない。今仕事で使っているMacBook Proの前に買ったものだ。このPowerBook G4がお陀仏になったら、いよいよ困ったことになって、多額の投資が必要になるかもしれない。もっとも近頃は、自分でプライマーをデザインする機会もめっきり減ってしまった。PowerBook G4が壊れるよりも、引き出しで半冬眠状態になる方が早いかもしれない。時々液晶画面が怪しい挙動を示す時があるが、もうしばらくだけ頑張って欲しいと願うばかりである。