2018年01月02日(火)

百聞は一見にしかず

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明けましておめでとうございます。

2017年は、CRISPR-Cas9に関する3年半のさきがけ研究が終了し、自分の研究にとって区切りの年となりました。

2017年には、これまでに構造決定してきた3つのCas9(SpCas9、SaCas9、FnCas9)にくわえ、最小のCas9として注目されているCjCas9の結晶構造を決定することができました。この結晶構造から、CjCas9のガイドRNAは予想外の3重鎖構造をもつことがわかり、CRISPR-Cas9の多様性にあらためて驚かされました。これで4つのCas9の結晶構造が決定され、CRISPR-Cas9の基本的な作動機構は明らかになったといえます。最近は、「まだCas9やるの?」と聞かれることもあります。たしかにCas9の作動機構の大枠は明らかになりましたが、まだわかっていないことも残されており、全容解明を目指して研究を続けています。また、Cas9を改変した新たなゲノム編集ツールの開発にも挑戦しており、2018年には面白い結果をいくつか発表できるのではと考えております。

また、2017年には、金沢大の柴田さんや古寺さんらとの共同研究として、高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を用いて、Cas9がDNAを切断する瞬間を1分子動画として明らかにすることにも成功しました。Cas9の1分子動画は学会でも非常に好評で、HS-AFMの威力を認識しました。また、ツイッターに投稿したところ、想像以上の反響があり、世界中から4800を超える「いいね」がつき、フォロワーも約1000人増えました。研究成果を多くの人に面白いと思ってもらえ研究者冥利に尽きる経験となりました。また、ツイッターの拡散力、および、英語で発信する重要性を再認識しました。

2018年はこれまでのRNA研究を継続しつつ、新しいことにも挑戦したいと考えています。具体的には、進展の目覚しいクライオ電子顕微鏡を用いて構造解析を行ってみたいと考えています。

西増 弘志

東京大学 理学系研究科 助教
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