研究成果紹介

研究成果紹介

 
2017年04月26日(水)

注射針メソッド誕生秘話

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北大 廣瀬研の特別研究員の中條と申します。

パラスペックルの骨格分子であるNEAT1長鎖ncRNAが、通常のRNA抽出法ではほとんど水層に抽出されずにタンパク層にトラップされていたことを見出し、そこを出発点にした論文を最近報告することができ、中川先生から、研究が始まった経緯について書いてと依頼され、この記事を書く機会をいただきました。

新しい研究が始まる経緯を大別すると、①仮説やビジョンに立脚したプロジェクト型研究と、②偶然出くわしたことを基点としたセレンディピティ型研究に分けられると思います。 今回の私の研究は、典型的な後者ですが、そのまっただ中にいた当人にとっては、当たり前にできるはずの実験がうまくいかない状況を何とかしようともがいて、虚空に手を伸ばし続けることで糸口をつかんだ研究でした。

領域前半、公募班としてお世話になりました、河岡です。

厳密には本領域のトピックとはずれるのですが、最近論文を発表したので、宣伝させてください。

筆頭著者は鈴木勉先生のラボ出身の北條くんです。RNA屋さんからの転身(?)!!

2016年11月02日(水)

1足す1は2よりもっと

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論文というのはその核心を捉えた時から実際の原稿の受理までには時間がかかるもので、衝撃のデータを目にして雷に打たれたように全身が痺れた瞬間であるとか、これだ!これだ!この技術さえあればうまくいくと世の中全てがバラ色に思えるような、新婚当時のウキウキした気分に勝るとも劣らぬ高揚した気分(今がウキウキしていないとは言っていません)は、数カ月、数年越しのクソ思慮深きレフリーとのバトルを終え枯れ果てた悟りの境地に入ってしまうと、今更どうこう話す気分にもなれないものです。でも、この論文だけは発表後も新婚当時のウキウキした気分が続いているので(今がウキウキしていないとは言っていません)、その馴れ初めから論文に至るまでを、3回シリーズで、、、いや、いつも分量が多くなりすぎるので、今回は読み切りでお伝えします。

2016年09月28日(水)

初恋Gomafu(4)

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当時の状況としては

1) FISH・免疫組織染色等では差が見られなかった。
2) 行動アッセイで弱いながら表現型が見られた。
3) スプライシング因子と相互作用しており、選択的スプライシングの変化が予想された。
4) 怒涛の発現マイクロアレイ、エクソンアレイ解析では何も差が見られなかった。

ということになります。4)でかなり金銭的にも精神的にも消耗したので「撤退」の2文字が頭によぎりましたが、そこは初恋のなせる技。子育て中の親鳥が餌を探し回るがごとく、ミーティングや学会に出るたびにこの状況を打破してくれるウルトラCに出会えないかと物色し、Ben BlencoweさんのNGSを用いた選択的スプライシング解析を聞いた時は、科学特捜隊が手も足も出ず苦しんでる中ようやく光の国からウルトラマンがやってきたような気がしました。ずん、ずん、ずん、と、だんだん大きくなってくるあれですね。

2016年09月20日(火)

初恋Gomafu(3)

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実際に宮川研にSonet君が出向いて行動解析実験をしてわかったことは、これまであれほど表現型が出ない出ないと言って苦しんでいたのに、とりあえず「統計的に差がある」データは、意外(?)とでてくることがわかりました。

2016年09月10日(土)

初恋Gomafu(2)

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あばたもえくぼとはよく言ったもので、見た目表現型が全く出ないGomafuノックアウトマウスがむしろどんなプロジェクトよりも可愛くなってくるというのは初恋のなせる技。というかこれは悪女につかまったという方が良いのか、、、

2016年09月09日(金)

初恋Gomafu(1)

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My favorite geneといえばGomafu。その名の由来は、そのまんまゴマフアザラシなわけですが、先日、稚内を旅行中、ふと海辺に立ち寄ったところ、遠くの浅瀬でゴマフアザラシの群れがのんびりくつろいでいるのに出くわしました。さすが北海道。レアものゲットです。ん、多摩川を泳いでいたこともあったか、、、

というわけで、いろいろ紆余曲折がありながらも、以下の4.5SHを介した新規遺伝子発現制御機構を見つけることができました。

1) SINE B1と高い相同性を持つncRNA 4.5SHは核内に大量に存在する。
2) 4.5SHはUTRにアンチセンス方向にSINE B1が挿入されたmRNA群(asB1群)と二本鎖を形成する。
3) 二本鎖形成によって核外輸送の効率が低下する。
4) 4.5SHをノックダウンするとasB1群が細胞質で増加する(SINE B1プローブで確認)。

ここで大きな問題が一つ残っています。そう。asB1群の中で、具体的なターゲット遺伝子は何か?という問題です。これを明らかにしないことには、なかなか「良い」論文にならない>「良い」論文がないとお金がとれない>お金がとれないと実験ができない>実験ができないから「良い」論文が書けないという負のスパイラルが発動!してしまいます。そこで、相当のコストがかかるので躊躇していたのですが、ここが勝負と気合を入れてマイクロアレイ解析をすることにしました。今ではレトロ感が漂うマイクロアレイ解析ですが、2009年当時はまだまだピカピカの高級車的な存在でして。。。

前回からだいぶ時間が経ってしまいましたが、そろそろいろいろ後ろも詰まっていますので、4.5SHは蜜の味の長文最終章「夢から醒めて」??をお送りします。は?何の話だったけ?ということで、過去二回をざっくりまとめますと、、、

↓核内に局在する新規lncRNAを同定するため、Fantomクローンをプローブに片っ端からin situをしていた。
↓核内に大量に蓄積するもの大量に同定!
↓実はレトロトランスポゾン配列が入っていただけだった。orz...
↓気を取り直してレトロトランスポゾン配列を除いたプローブで実験再開。
↓核内に大量に蓄積するAK037328を同定!
↓そのプローブでノザン解析しても予想されたところにバンドが出ず、、、

2015年09月16日(水)

4.5SHは蜜の味(2)

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 4.5S RNAH(以降4.5SH)という一目無機質なこの名前。その名の通りSは沈降係数スベトベリのS。Hは、4.5Sの沈降係数を持つRNAをアガロースゲルで展開したらバンドが幾つか見えて、順番に一郎、二郎、三郎ならぬ、A, B, C, ....と名前をつけて行って、8番目の兄弟ということでH。ということらしいですが、HはこのRNAの配列を決定された原田文夫先生の名前のHとかいう噂も、、、ともあれ、このRNAが同定されたのはなんと1980年。DNAクローニング技術が一般的に広く普及する以前の話です。32Pラベルされているとはいえクローニングしなくても電気泳動で分離すればバンドが見えてしまうわけですから、発現量の多さが分かるというものです。シークエンスの決定も今ではなかなか想像できないですが、このRNAを精製してきて、RNaseA(C or Uの3'を切断)もしくはRNaseT1(Gの3'を切断)で切断した断片を二次元ペーパークロマトで展開してフィンガープリントを作成。それぞれのスポットを様々なRNaseで分解して塩基組成と末端配列からフラグメントの配列を予測。さらに部分分解を用いてフラグメントをアラインメント。気の遠くなるようなベンチの作業とデスクでのパズルのピースの組み合わせを経て決定された配列は1980年のNARに発表されています(Harada and Kato, NAR 8, p1273- (1980))。potential functionについての洞察は示唆に富み、とてもエレガントな論文です。
 我々とこの4.5SHの出会いは、多くの劇的な恋がいつもそうであるように、まさに偶然と勘違いから始まりました。

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