私は直前まで北海道で行われたRNA学会に参加していたので、羽田空港からそのままヨーロッパ行きの飛行機に乗るという強行スケジュールでスペインのバルセロナ空港へと到着しましたが、バルセロナではガウディなどの著名な建築家の建造物や美術館、おいしい海の幸と肉の幸(!)に大興奮した結果、同行の先生を熱中症状態にさせてしまうほど満喫しました(大変反省しております)。特にパエリア、ムール貝や魚、ハム。スイカは市場で割とぼられましたがおいしかったです。
翌日シャトルバスに乗り込み、本来6時間の道を運転手がとばすこと4時間(!?)、死ぬかと思いましたが無事会場のCentro de Ciencias de Benasque Pedro Pascualがあるベナスケに到着しました。はじめにキーノートスピーカーによるトークとセッション決めが行われたのですが、その際にはまず必要なセッションのトピック自体の話し合いが行われ参加者に合わせて柔軟に追加・分割などを行ったあと、参加者が挙手で自分の発表したいセッションへの立候補を行うという(かなりの自己主張力を要求される)形式でした。
今回の会議はRNA構造という縛りの中でも多彩な分野からの発表があり、「二次構造から三次構造」「実験から理論」「RNA合成や進化」など探せばニッチはいくらでもあるんだな(感嘆)と思いました。個人的に今回のミーティングで注目を集めていた分野をあげるとすると、「アラインメント・RNA合成・RBP関連」が発表者も多く注目度も高かったと思います。特にRNA合成やRBPなどは臨床などへの応用の期待が高い分野であり、ここ最近で急激に発展してきているのではないかと思います。
私は最終日に、なんとmfoldを開発したM. Zukerがチェアーを務めるセッションで発表させていただきました。普段の学会では研究者人口が少なく若干アウェー感の高いRNA構造の分野ですが、参加者間で知識の共通部分が大きいため、「このパラメータの影響が〜」「エネルギーモデルをかえたときの分布が〜」といったようなより深い(浅い?)部分まで議論ができ充実した学会参加になりました。またオーガナイザーの方にも数少ない女性の発表者ということで感謝の言葉をいただき恐縮でした。
学会を通してセッションは基本的に午前と夕方にセットされており、それ以外の時間は発表準備をするもよし、研究をするもよし、共同研究のミーティングをするもよし、人口300人ほどの涼しくのどかな村に閉じ込められ思い思いに過ごしていました。ピレネー山脈のふもとにある村なので、土日には家族と山登りやラフティングなどのアクティビティなどに参加する方もいらっしゃいました。(画像は近くのダム湖までハイキングに行った際の写真です。)
会期の長さは参加自体へのハードルを上げますが、参加者同士の交流という点では素晴らしかったと思います。学会前はほとんどの方が初対面でしたが、学会後には文字通り皆顔見知りになり、他の学生の参加者や同じホテルに宿泊していた方々とも食事をご一緒したり、自身の研究や大学運営の話等(はたまたアメリカのAshley Madisonの話まで!)様々な話を聞くことができました。実際今回この学会に参加させていただいたことで、私の中で今まで考えたこともなかった「海外ポスドク欲」がふつふつと湧くこととなりました。
なによりベナスケの豊かな自然と穏やかな風土は、論文執筆と精度評価で疲れた私の心を癒してくれたのでした。おかげでベナスケ中に自分で進めた研究もボスから筋が良いというお言葉をいただいたきました。また食事も味よし値段よしで、なかなかにボリューミィではありましたがイノシシ、豚足、鹿など現地の食事を経験できて幸せでしたので、スペイン語さえ喋れたら私はもはやベナスケに定住した方が良いのではないかと思う次第です。(大学時代に第二外国語で選択したスペイン語は記憶の彼方でしたが、○ーグル翻訳ってすごいですね。)
なかなか観光でベナスケに行くことはないかもしれませんが、スキーやトレイルランなどハードなアクティビティを楽しみたい方はぜひ一度ベナスケを訪れてみてはいかがでしょうか。
という訳で長々と書いてしまいましたが、ベナスケ見聞記は以上になります。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
またこのような貴重な経験をすることができたのも、ひとえにncRNAネオタクソノミの支援のおかげと大変感謝しております。領域の皆さま、また煩雑な手続きをしてくださった高橋様、ありがとうございました。
アディオス!
クエント クエスタ!
河口 理紗