2018年03月07日(水)

Winter Q-bio 2018 参加レポート

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京都大学iPS細胞研究所の齊藤博英研究室に所属しております博士課程1年の小松リチャード馨と申します.現在,本領域の公募研究に採択頂いた課題に関連し,合成生物学的アプローチによってRNAの高次構造とタンパク質の相互作用を大規模定量解析する研究に取り組んでおります.

この度,本領域の若手フェローシップのご支援をいただき2018年2月に開催されました「Winter Q-bio 2018」に参加させていただきましたので,学会の模様などを報告させていただきます.

Winter Q-bioは定量生物学に関連する学会 (Q-bioのQはQuantitativeのQ) で,毎年ハワイ諸島のいずれかの島で実施されます.今年は6年目の開催であり,マウイ島ワイレアで行われました.ハワイでの開催に加え,システム生物学と合成生物学に関連する発表テーマが多く,大規模解析と合成生物学に取り組む私にとっては楽園のような学会でした。

*ドローンでの空撮で学会の雰囲気を伝える公式運営:

さて,研究発表についてですが,遺伝子回路や制御モジュールについての話が多く,齊藤研究室でも取り組んでいる研究課題と競合するものが多々ありました.発表はとても面白く,メモを取る手が止まらないのですが,正直なところ肝を冷やすことも多かったです.また,私自身が行ったポスター発表には,超大変光栄ながらRNAcompete法の原著論文にて責任著者の一人であるTimothy Hughes教授が来てくださり議論をする機会を得ました.RNP相互作用の大規模解析ならではのコメントや解析方法についての有意義なアドバイスを頂くことが出来ました.

ところで発表されていた研究の中で一つ紹介したいものがあります.新しい遺伝子合成法であるDropSynthです.マイクロアレイ上で合成したオリゴプールは通常200nt前後が合成の限界で,それ以上の長さを得るには技術的に難しい状況ですが,新しく開発されたDropSynth法では,DNA BarcodeとePCRを組み合わせることで約200~700ntの遺伝子プールを合成することが出来ます.彼らはこの手法によってタンパク質のライブラリを設計しておりましたが,もちろんこれはRNAにも応用できるものであり,本領域に採用いただいている研究課題や,領域内外のみなさまの研究にも活かせるのではないでしょうか.自分も現行の合成長の限界を超える良い方法を探していたので,何かの機会に利用してみようかなと思います.

総じて,今までの学会での発表は解析対象に対するアイデアをもらうことが多かったのですが,Winter Q-bioでは自分の研究に関する基盤技術のアップデートに役立つ知識を得ることができました.また競争の厳しさを強く実感し,焦燥感とともにラボに戻って参りました.

最後になりましたがこの場をお借り致しまして,ご支援をいただきました本領域と皆様に感謝を申し上げます.そして手続きにお力添えをいただきました北海道大学の高橋公美子様,京都大学の西村美穂様に厚く御礼申し上げます.

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