今回の学会参加で一番印象に残ったのは、初めての国際学会だとか、英語でのポスター発表だとか、世界中の粘菌研究者との邂逅だとかを差し置いて、帰国の2日前まで空港で預けた手荷物(キャリーケース)が手元に届かなかったことです。私が初めてのロンドンで四苦八苦している間、手荷物は航空会社や空港の手違いでマンチェスターやシンガポールを観光していたようです。大変な目に遭いましたが、不幸中の幸いで、発表用のポスターやデータは肌身離さず持ち歩いていたので、学会発表自体はなんとか問題なく行うことができました。
言葉の通り、身一つで乗り込んだ初の国際学会でしたが、得られたものはやはり大きなものでした。 開催国のイギリスでは粘菌研究が非常に盛んであるということもあってか、粘菌研究の分野での有名人が数多く参加されていて、トークでの質疑応答やコーヒーブレイク(ティーバックの豊富さはさすが紅茶大国と感じました)でのディスカッションは非常に白熱しておりました(今回初参加なので、いつもこのくらいの熱気なのかもしれませんが)。全体的には細胞骨格やファゴサイト―シスに関する研究発表が多い印象を受けましたが、粘菌でのRNA関連の発表は、粘菌研究におけるCRISPR導入の試みや、粘菌でのRNAi に関わるレトロトランスポゾンの研究など、技術開発に関係したものが多くありました。
英語(特にリスニング)力ほぼ皆無の私は、学会期間前半のセッションではスライドの文字を追ってなんとか内容についていくのがやっとで、発表が終わってから結局先生や周りの日本人に内容を確認したり質問したりというかんじでした。しかし約1週間ほど英語漬けの生活をするとさすがの私の耳でも慣れてきたのか、後半はスライドの文字と並行して発表者の言葉にも耳を傾ける余裕が(多少は)生まれていました。とはいっても、発表の内容自体にまだまだ知らない因子や現象が多く、英語力の向上とともに、もっと勉強しないとなと思いました。 ポスター発表でも、来てくれた方々は私の拙い英語を辛抱強く聞いて色々質問してくださったのに、なかなかうまく返答できず、ふがいなさに落ち込みました。が、次に参加した時にはもっと有意義なディスカッションができるようこれから精進しよう、と燃えるきっかけにもなりました。
他にも、学会終盤の遠足でビール工場を見学したり、学会最後の晩餐会後のダンスパーティー(?)で某先生に振り回されたり(本当に物理的に)と、研究室にこもっているだけではできないような多くの(良くも悪くも)貴重な経験をすることができました。このような経験ができたのも、本領域のご支援のおかげであり、本当に感謝しております。とりわけ、実質的な手続きをしてくださった北海道大学の高橋様には重ねて御礼申し上げます。
今回の学会参加で得られたメンタルや知識的な成長を糧として、これからますます研究に精進していきたいと思います(次に国際学会に参加するときには、本領域(公募班)での研究成果を粘菌研究界に報告できればな、と内なる野望(?)を抱きつつ)。
嵯峨の国際学会レポは以上となります。
長々と失礼いたしましたー