2015年09月08日(火)

カンター教授のジレンマ:Cantor’s Dilemma

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読書の秋ということで、私のお気に入りのサイエンスフィクションを1冊紹介したいと思います。「カンター教授のジレンマ」(カール・ジュラシック著、中森道夫=訳、文藝春秋 1994年)です。この本は、私が修士課程の学生の時に、ワクワクしながら読んだ一冊です。富田は、こういうストリーが好みなのか、と思っていただいても構いません。

あらすじは、主人公である有名な癌研究者、カンター教授がノーベル賞に値する「腫瘍形成理論」を思いつき、それを証明するための実験をポスドクのスタフォードに託すのですが….
途中で夜中にスタフォードがこっそり実験室にもどってきて実験をしたり…カンター教授自ら、スタフォードとは別の証明実験を一人で行ったりと….

最終的にはカンター教授とスタフォードは「腫瘍形成理論」の提唱、証明でノーベル生理・医学賞をめでたく共同受賞することになるのですが、そこに至るまでのカンター教授、そのまわりの研究者たちの思考、行動(ジレンマ)が非常におもしろく描かれています。それ以外にも、この業界の「きなくさい」話も。事実かどうかは別として、科学者って普通の人が思っている以上に人間味がありすぎる(=幼い?)ということが伝わってきます。とりあえず、興味のある方は娯楽として読んでみてください。週末、二晩で読み終えます。

アメリカでのポスドクから帰ってきたころに、読み返しましたが、やはり面白い。最近、また読んでみたけれども、やはり面白い。

科学者を生業にしようと志す研究室にはいりたての学生さん、外国でポスドクトレーニングを希望している博士を取得したばかりの研究者、ポスドクを終えてこれからPIになろうと志している若手研究者、すでにPIになっている中堅の研究者、どのレベルの方が読んでも、面白く、気軽によめる本です。もちろん、大先生が読んでも楽しめると思います。


残念ながら、この本絶版になっているようです。読みたい方は富田までメールにてご連絡ください。お貸しいたします。

富田 耕造

東京大学 新領域創成科学研究科 教授
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