ATRは、生命科学系の方々には馴染みのないところかもしれませんが、脳科学やロボット分野ではよく知られたinstitutionです。例えばジェミノイド(最近だとマツコロイドというとわかりやすいのでしょうか)の石黒さんが在籍していたりします。僕が所属するThe Thomas N. Sato BioMEC-X Laboratoriesは、ERATOの総括でもある佐藤匠徳さん(Tomさん)が所長を務める、ATRで初めての生命科学系の研究所です。場所はいわゆるけいはんな学研都市で、緑豊かかつ京都や大阪へのアクセスの良いところです。僕はここで、2名の博士研究員(1名はもうすぐ参加)、1名の大学院生と一緒に研究を行っています。研究環境はとても恵まれていると思います。研究所に興味のある方はぜひ連絡ください。
この場で自己紹介するのは、ちょっと恥ずかしいのですが、一応。。。僕は2012年に博士号をとりまして、そのときは、カイコを使って、piRNAという小分子RNAの研究をしていました。大学院在籍時は、東大農学生命科学研究科の勝間研、分生研の泊研、新領域の菅野鈴木研、アグリバイオの門田さんにとてもお世話になりました。前新学術領域非コードRNA作用マシナリーには大学院生として参加していましたので、公募班として参加することがなんとなくこそばゆいような気もします。余談ですが、当時の非コードRNAブログに連載していた「カイコドラマチック」は伝説的な名連載として方々で語り継がれていると聞きます。
博士号をとってすぐにコールドスプリングハーバー研究所のVakoc labでポスドクを開始し、マウスとヒト細胞を使って、急性白血病細胞におけるクロマチン制御因子の機能に関する研究を行いました。ちらほら論文も書きつつ、その頃これまたいろいろ考えたことがありました(超長くなるので割愛)。いろいろを一言で表したのが「生物学的文脈」で、この言葉は、僕が行っている研究のほぼ全てに関わってきます。現所属との縁あって帰国したのが、ちょうど1年前、2014年の4月です(HFSPを中断するという蛮行(?)でした)。
カイコというマイナー昆虫の研究からスタートした僕の研究ライフですが、分子生物学/遺伝学からはじまり、出会いの幸運なども相まって、生化学や大規模シーケンス、バイオインフォマティクス、マウス、ときて、最近はサカナを使ったイメージングもやっています。手持ちの手法をうまいこと有機的に組み合わせて、面白い研究をしていきたいと考えています。
2年間、みなさまと関わりを持ちながら研究を進めることができるのが楽しみです。どうぞ宜しくお願いします。繰り返しになりますが、興味を持たれた方はぜひご連絡ください。
河岡慎平