2018年01月27日(土)

2018年の素敵な景色

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2017年から2018年にかけても、研究に限らず色々な面で実り多い日々を過ごさせていただきました。このブログ記事では、特に、「ダイバーシティ」を改めて考えるきっかけになったいくつかの出来事について紹介できればと思います。

ひとつには、オーディエンスのほとんどが医師というミーティングでお話させて頂いたり、製薬企業のマネージャーの方々に対してプレゼンさせて頂いたりする機会があったことです。専門分野の近い国内外の研究者の方々に学会等でお話させて頂くことや、高校生などにアウトリーチ活動としてお話させて頂く機会はこれまでにもありましたが、また少し違ったオーディエンスに対する研究発表の機会も増えてきました。私の研究はショウジョウバエをモデル生物とした基礎研究であり、少し距離を感じられてしまうのではないかと不安もありましたが、沢山の質問やコメントを頂くことができ、とても良い刺激になりました。すぐに医療応用や産学連携といった方向につながることは難しいかもしれませんが、私の所属研究室では哺乳類を使った実験系も軌道にのりはじめたこともあり、これまでよりもさらに広い(diverseな)視点で研究を考えていくことの重要性を改めて意識するきっかけとなりました。

もうひとつには、富山で開催された2017年の日本RNA学会年会において、男女共同参画委員としてランチョンセミナーをオーガナイズさせて頂いたことです。本領域でもお世話になっている中川真一さんにご講演頂き、岩崎信太郎さん(理化学研究所)、川島茂裕さん(東京大学)、坪内知美さん(基礎生物学研究所)、浜田道昭さん(早稲田大学)にパネラーとしてご登壇頂き、パネルディスカッションを行いました。いろいろと考えた結果、テーマは直接女性研究者の活躍やワークライフバランスをとりあげるというよりは「若手PI(Principal Investigator)」に焦点をあてたものにさせていただきましたが、様々な視点から女性研究者を応援するようなディスカッションも盛り上がりました。とくに中川さんの「女性PIは完璧なひとが多すぎる、少し弱点があるような女性PIも見てみたい」というコメントは印象的だった、という声をセミナーにご参加頂いた女性研究者の方々から頂きました。

昨年末に、研究/キャリア紹介記事の取材を受けることがありましたが、取材中のふとした会話の中で「バリバリの研究者をイメージしていたが、意外と柔らかい雰囲気の方だった」というような感想を言って頂きました(持ち上げて?いただいたのかもしれませんが)。研究者になりたくない女性が無理に研究することはないと思いますが、研究を続けることに対するハードルが実際よりも高く誤解されてしまっているがために研究者を諦めてしまうような優秀な女性がいるとしたら、それは残念なことだなと思います。先の中川さんのコメントもありましたが、必ずしもパーフェクトな感じでなくてもなんとかやっていけているというところも発信できればと思いました。

2018年も、まず何よりも面白い研究が出来るように、そのために様々な専門分野の男性&女性研究者とインタラクションし、広い視野をもって素敵な景色が見られるように、頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します!

岩崎 由香

慶應義塾大学 医学部分子生物学教室 専任講師
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