慶應義塾大学 医学部分子生物学教室 専任講師
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私は本領域で、piRNAと呼ばれる非コードRNAによる転写制御の研究を一貫して進めてきました。したがって、この5年間で一番の「変わったこと」は、もちろん「piRNAがどのようにゲノムに作用しているのか」の理解の深まりにあると思います。この話題については今投稿中の論文が掲載された際に苦労話?も含めてじっくり語る機会があると信じて、また、中川さんと泊さんからネオタクソノミブログのアピール効果はスゴイ!と伺ったこともあり、今回は少し違う話題に焦点をあてたいと思います。
2017年から2018年にかけても、研究に限らず色々な面で実り多い日々を過ごさせていただきました。このブログ記事では、特に、「ダイバーシティ」を改めて考えるきっかけになったいくつかの出来事について紹介できればと思います。
いわゆる「次世代シーケンサ(NGS)」が使われはじめたのは、およそ10年前のことでした。その当時所属していた研究室でも、「なんだかスゴイ機械がでてきたらしい!」といって、早速興奮気味に勉強会が開催されたことを覚えています。初期のNGSである454がリリースされた2005年に私はまだ学部生で、実際にNGSを使って研究するようになったのはさらに数年先のことでしたが、それまで基本的にデータベースに登録されているシーケンスデータを用いてバイオインフォマティクス解析を行っていた私にとって、自身でデータを取得するところから研究を始められるということはパラダイムシフトでした。
私はトランスポゾンを抑える働きをもつpiRNAという小分子非コードRNAについて、この領域で研究を進めてきました。なかでも、Piwiタンパク質とpiRNAの複合体は核内で転写レベルの発現制御を行うことが知られていますが、そのメカニズムを明らかにするべく、次世代シーケンサーを用いたエピジェネティクス解析をメインに進めてきました。その結果、Piwi-piRNA複合体が、ヒストンH1やHP1aなど複数のタンパク質を介してクロマチンの構造を制御することにより標的となるトランスポゾンを抑制する、というモデルを提唱することができました(詳細についてはこちらでまとめています)。
日本RNA学会のウェブサイト、このブログをみている皆様にはみたことがある方も多いかと思います。この領域でも活躍されている、泊さんや黒柳さんをはじめとした様々な方々のご尽力により、デザイン、機能、内容など、最近、全面的にリニューアルがなされました。実は私も、日本RNA学会の国際化担当という役職ですこしお手伝いさせて頂きましたので、手前味噌ですがここでぜひ紹介したいと思います。
公募班として参加させて頂く岩崎由香です。
本領域では、piRNAと呼ばれる核内で転移因子などを抑制する非コード小分子RNAを対象に、非コードRNAによるエピゲノム制御の作動ダイナミクスを明らかにしたいと考えています。先の河岡さんにならって、研究に関しては別途公募班のスペースにアップさせて頂くということで、がっつり(というほどでもないですが)自己紹介したいと思います。
私は現在、慶應大学医学部で研究しています。うららかな春の時期は、実習と講義の集中授業があったり、研究室配属になった学生と一緒に研究を始めるキックオフがあったりと、学生と接する機会が多い時期です。自然と、自分自身の学生時代を思い出すことも多くなります。