2014年12月10日(水)

The 16th Tokyo RNA Club レポート(2)

投稿者: 松浦 絵里子 (東大分生研)

山路さんの感想文に先を越されてしまいましたが、11月28日(金曜日)に東京大学武田先端ホールにて開催されたThe 16th Tokyo RNA Club (TRC)のレポートをさせていただきます。東京大学泊研究室ポスドクの松浦絵里子です。泊研では珍しく、ショウジョウバエの遺伝学などもしつつ、in vitroの系も使い、miRNAの働きについて研究しております。

さて、今回のTRC、オーガナイザーは、中川真一先生(理研)と泊さん(東大分生研)。演者は、国内外から総勢16名、錚々たるメンバーでした。分子生物学会の次の日ということもあり、朝早くから参加された方々、お疲れ様でした。内容は、Cas9/CRISPR、piRNA、miRNA、lincRNA、circRNA、mRNAにわたり、ホットな話題に満ち溢れておりました。15th、16thTRCでcircRNAの有名どころは網羅されたのではないでしょうか。

今回のTRCでの発表で、印象に残っていることを書きます。

1) いろいろな生物種を用いたRNA研究
今回の発表では、哺乳類、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、カイコ、ミジンコ、酵母、植物を用いた研究成果が発表されていました。RNAを介した機構が様々な生物種で研究されている イコール 生命現象の根本的なしくみ であることを再認識。アウトプットは異なるかもしれませんが、RNAを利用して、各生物が巧みに生き残ってきた様を垣間見た気がします。とくに、カイコのpiRNAによる性決定(東京大学勝間先生)、ミジンコのlincRNAによる性決定(大阪大学加藤先生)は、わくわくする!お話でした。

2) RNAの話が全くでてこなかった!!!
分生でも発表されていたQinghua Liu先生(UT Southwestern Medical Center)。そのときの発表は、ショウジョウバエDicer-2に結合する因子のお話でした。TRCでも同じ話?と思いきや、なんと、Narcolepsyという脳疾患についてのご講演でした。Small RNAとは全く別のお話だったので、驚きましたが、同時に、幅広く研究を展開されている姿勢に感心しました。

3) やっぱりすごいCRISPR/Cas9
Cas9の構造を解かれたJennifer Doudna先生(University of California, Berkeley)は、効率よくtargetを認識し、切断するという技術的な改変についてのご講演でした。懇親会では、CRISPR/Cas9システムを研究に利用しようと計画している方々、すでに利用している方々の間での情報交換も行われており、みなさんの関心の高さがうかがわれました。siRNAによるノックダウン手法が瞬く間に世界中に広がったように、CRISPR/Cas9システムも世界に浸透しつつありますね。

4) lincRNAのバイオロジー
影山先生(神戸大学)のご講演では、ショウジョウバエLobe-lessのユニークなmushroom bodyでの表現形、さらに、クロマチン構造調節を介したLobe-less RNAの分子メカニズムにまで言及されていました。中川先生のNEAT1についてのご講演では、ノックアウトの解析のみならず、超解像顕微鏡を用いたパラスペックルの蛍光画像も登場しました。金太郎飴のような絵が印象的で、in vivoのlincRNA構造体を見た!という感動がありました。(超解像顕微鏡、未知の世界に我々をいざなう新たな装置ですね。)また、加藤先生(大阪大学)のご講演では、lincRNAがミジンコの性決定に関与し、さらにその性決定には、幼若ホルモンであるjuvenile hormoneとクロストークがあるという内容でした。Ulitsky先生(Weizmann Institute of Science) は、lincRNAの種間での保存性について講演されていましたが、長い領域での保存性は低く、10-6ntの短い範囲に絞ると相同性が見えてくるとのことでした。各先生方のご講演を拝し、各lincRNAには特異的な機能があり、ひとまとめでは語れないと改めて認識し、今後の新たな発見に期待を抱きました。

懇親会は、皆さま、おいしい食事を片手にディスカッションに盛り上がっておりました。個人的には、発表時には聞きにくい質問や、プライベートのこと、海外の研究事情などの情報交換ができ、大満足でした。海外の先生方は、空き時間に日帰り旅行(鎌倉、日光)や歌舞伎鑑賞などを楽しんだようです。分生の後ということもあり、海外の先生方も日本の環境に慣れてきたようで、いい感じにお酒が入ってきて、盛り上がっていました。

毎回感じることですが、TRCは小規模ながら、国内外の著名な先生方のトークを身近に聞くことができ、さらに、学生、ポスドクが気軽に質問できる雰囲気の会合です。この貴重な機会を逃すのはもったいない。次回も積極的に参加したいと思います。

最後に、オーガナイザーの中川先生、泊さん、このような盛りだくさんなTRCを企画していただきありがとうございました。(泊研の秘書、武田さん、本当にお疲れ様でした。)

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