2015年12月24日(木)

DIGのポリクロのロットチェック(改)

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ラボで行われている実験の伝統や伝説のほとんどはただの迷信、というのは良くある話で、プラスミドプレップする時のリゾチームだとか、コンピテントセルのヒートショックだとか、RNA実験に使う水のDEPCだとか、まあ少しは変わるのかもしれないけれども本質的には変わらないよね、という話はゴロゴロしています。FISHにおいても伝説がありまして、それは、

DIGラベルしたプローブはマウスのモノクロでしか検出できない。

です。したがって、マウス由来の抗体で何かのマーカータンパク質を染めて二重染色したいときは、FITCラベルしたプローブをウサギのポリクロで見ないといけない、これはDIGラベルより若干感度が落ちるから困ったねえ、というのが勝手に僕が作った伝説ですが、今回、総括斑の超解像顕微鏡用の予算に少し余裕があったので、この伝説を検証することにしました。

結論からいくと

伝説はやっぱりただの伝説。DIGのポリクロめちゃそこそこ使える、でありました!!!

2016/4/22追記:いろいろ試してみると、現状どうもやはりそこそこ使える、のレベルで、FITC/anti-FITC(Rb)/anti-Rb Cy2の組み合わせにはかなわないようです。難しいものです。

そもそも、DIGプローブの検出で一番良く使われるのは鉄板の人気商品。ROCHE #11093274910
Anti-Digoxigenin-AP, Fab fragments 

ですが、これ、実はsheepのポリクロです。なんだ、これを使えば一発解決ではないか、とanti-sheepの抗体を買って試してみたのは10年前。ほとんど染まりませんでした。NBT-BCIPを用いたAP発色は感度が良いのでS/N比さえよければ綺麗に染まるけれども、蛍光染色ではある程度の絶対的なシグナルが必要なので見えないのかな、と解釈しています(伝説)。

で、今回購入したのは、抗体を購入した時の打率ではなかなかの好成績を残しているAbcamのこちらの抗体。

Anti-Digoxigenin 抗体 (ab76907) ウサギ由来(Goatではないか!!

カスタムレビューもそこそこ。これは期待できる!ということでNeat1をDIGプローブで染めて、anti-DIGモノクロとanti-DIGポリクロのシグナルを比較してみたのですが、、、

ブルータス、お前もか、、、

68,000円返せー!!

と言っても始まらないのですが、やはり、DIGはモノクロで検出するのが群を抜いて最強であることは変わらず。不思議なのは、Abcamで販売しているモノクロ(clone 21H8)もロッシュのモノクロ(clone 1.71.256)もどちらも同じぐらい染まるのに、ポリクロはどれもしょぼいのですよね。二次抗体が違うので厳密には性能の比較はできませんが、うちで今使っている二次抗体はむしろanti-rabbitの方がanti-mouseより性能が良いぐらいなので、これはもう、ポリクロ(というかマウス以外の抗体)が呪われているとしか思いようがない。。。

**********

と、ここまでがちょっと前に公開した内容だったのですが、ふと嫌な予感がして抗体のデータシートを見直すと、、、

Goat anti-DIG polyclonal

ん?二次抗体間違えただけやないかこれ!

というわけで4回生でもやらない初歩的なミスを犯していることに気づき、穴が入ったら入りたい。穴に入ったまま年を越すことになってしまいました。新年、気持ちを切り替えて再実験。結果は、

めっちゃ染まってるじゃないですか!

今回はついでにDIGとFITCとBiotinのどれが一番検出感度が高いかも確かめています。これまでは

DIG (mono) ≥ FITC (mono) ≥ FITC (poly) >> Biotin >>>>>>超えられない壁>>>>>DIG (poly)

だったのですが、むしろDIG (poly)の方が感度が良いぐらいですね。ですので、

DIG (mono) = DIG (poly) = FITC (mono) ≥ FITC (poly) >> Biotin

に訂正です。もちろん二次抗体の性能にもよるのでなんとも言えませんが、DIGのポリクロも十分使えることがわかりました。RNAの二重染色するときも、DIG/poly&FITC/monoの組み合わせで検出するのが最強なのかもしれません。FITC/polyはFITC/monoよりも若干弱い印象はあるので。ともあれ、Abcamさんゴメンなさい。ちょっとでも疑ってしまって、、、68,000円の価値あり。このポリクロ試してみたい、という方はご一報ください。

 

最終修正日 2016年04月22日(金)
中川 真一

北海道大学薬学研究院 RNA生物学研究室

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