2016年07月19日(火)

一人三交代

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 ラボを始めました、といっても、仲間も予算もない頃、それでも与えられた賞味期限は刻々と残り少なくなっていく恐怖の中で、ふと、看護師さんたちの3交代制を思い出しました。

 看護師さんたちは、一例をあげると、「日勤」8:30~16:50、「準夜勤」16:30~00:50、「深夜勤」00:30~8:50というシフト勤務で、24時間、入院患者さんをケアします。

 振り返ってみて、実験の律速段階の多くはOvernightのプロセスです。しかし、免疫共沈降を夜通しIncubationする必要もありませんし、フィルム焼くのに朝まで待つのも、なんと悠長なことか。当時、話題になったヨーロッパ、アメリカ、日本を繋ぐ日の沈まないロッシュ研究所の戦闘体制に羨望を覚えながら、30代前半に生み出したカイゼンの技が、一人三交代。

 6時間仕事して、2時間寝る。これを一日3回繰り返す。もちろん正確にはいかず、ずれはありますが、30代前半なら、これが意外に続きます。これをもってして、自分比では実験のスピードが随分進んだような気が。少なくとも、眠っているときに、うなされることはなくなりました。グラント書くのも6時間こえると、心身ともに疲弊して、目を開けてモニターに向かうのが大変な苦痛になりますが、自分シフトが体に馴染んでくると、夜は一日に3度も訪れてきてくれて、その度に復活、この一人三交代シフトこそが研究者の醍醐味みたいに思えてきます。

 何日続けられたかというと、、、よく覚えてません。すごく続いたような気もしますし、それは自分の中でそう思い込んでいるだけかもしれません。せいぜいワンクール、1週間くらいだったのでしょう。

 周りを見れば、そんな私を、せせら笑うかのような知力と体力をお持ちの方がたが、猪突猛進されている中、自身のひ弱さをカバーし延命を試みるための、今はそれも出来なくなった、ささやかなカイゼンでした。

 今、重責も危険も厭わず、24時間実験を続けてくれる双腕“まほろ”ロボットをみるにつけ、ターミネーターのごとく、あのころの自分に送りつけてやりたくなります。

浅原 弘嗣

東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 教授
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