2018年12月12日(水)

25th Tokyo RNA Club レポート (2)

投稿者: 小野口玲菜

東京大学アイソトープ総合センターで特任助教をしております小野口玲菜と申します。私は現在、MALAT1という核局在型長鎖ノンコーディングRNAと熱ストレス応答の関係について研究をしています。12月1日に東京大学・小柴ホールで開催された第25回Tokyo RNA clubにて発表の機会を頂きましたので、簡単ではありますがミーティングレポートをさせていただきます。

私は大学院生の頃からRNA研究分野に携わっていました(大学院生の頃はmRNAの分解制御について研究していました)。なので、Tokyo RNA clubの存在は以前から知っており、東大所属という地の利を生かして聴衆として何度も参加していました。

今回初めてTokyo RNA Clubで発表する機会を頂きましたが、そもそも英語の口頭発表自体が初めてだったのでとても緊張していました。会場の入り口でTokyo RNA Clubのポスターを改めて見た時に、いつもPubMed上で追いかけている海外の有名研究者の皆さんと並んで自分の名前があるのがとても不思議な感じがしました。自分の発表を終えるまでは緊張しすぎて他の人の発表を落ち着いて聞けるような精神状態ではなかった、、というのが正直なところなのですが、皆さんの発表内容はそれを凌駕するほど面白くあっという間に時間が過ぎていく感覚でした。私自身の研究でMALAT1が熱応答性の核内構造体に局在化するという現象に着目していることもあって、Simon Albertiさんの低pHや熱ストレス条件下におけるタンパク質のdroplet形成にRNAが重要でタンパク質の変性を防ぐという話は特に印象に残っています。また、栗原さんのPML bodyによる遺伝子発現制御に関する研究も興味深かったです。用いている解析技術も、転写制御の様式も同じく核内構造体の研究に携わっている私としては非常に参考になりました。

ミーティング後に開催された懇談会では気持ちも落ち着いていたので、色々な人とディスカッションすることができました。今回のミーティングでの大きな経験の一つは、海外のゲストスピーカーに思い切って話しかけることができたことでした。自分の英語に全く自信のない私にとっては海外の有名研究者に話しかけるのは結構ハードルが高いことで、通常の学会では「この規模だとお目当ての人を探すのも一苦労だし、、、」と色々なことを言い訳にしてしまっていました。今回のTokyo RNA Clubでは「いつもPubMed上でしか見かけないRoy ParkerさんやSimon Albertiさんが目と鼻の先にいるとう恵まれた機会はそうそうない」と、思い切って話しかけました。「いつも論文読んでます!」とかなりミーハーな感じで話しかけてしまったのですが、とても気さくに対応してくれて自分の研究内容についてディスカッションでき、また発表を聴いて疑問に思ったこと質問することができ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。

自分の発表に関しては、「研究内容を伝える」という最低ラインは超えられたかなとひとまず安心しています。これだけ豪華なスピーカーの皆さんに混じって発表する機会も中々ないと思いますが、そこで発表を終えたことで一つ自分の中の自信につながった気がします。他の演者の方々がとても楽しそうに自分の研究について発表していたのを見て、もっと余裕をもって発表を楽しめるようになれたらいいなと心の底から思いました。また、英語という日本語よりもはるかにロジカルな構造を持つ言語での発表準備をすることは、自分の研究内容を客観的に見直す良い機会になると改めて実感しました。色々な方とのディスカッションも踏まえて今後の方針がかなりクリアに見えました。

最後に、発表の機会をくださった中川先生、オーガナイザーの先生方、関係者の皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。刺激的で有意義な時間をありがとうございました。

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