2015年01月31日(土)

パラスペックルの生理機能〜Neat1 KOマウス表現型解析の顛末(3)

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やっぱりこの表現型は本物だ。絶対間違いない。と思って夢中で顕微鏡を覗いていたところにグラリときて、数日間は思考停止。

心の整理は今だについていないような気がしますが、引っ越し直後に被災された東北大の杉本さんが、さきがけRNAの仲間に宛てたメールで(当時杉本さんはさきがけRNAと生体機能のアドバイザーでした)「明けない夜はない」という言葉を引用されているのを目にして、止まっていた時計の針がようやく動き出したのを今でもよく覚えています。

ともあれ、黄体、不妊、卵巣、全く新しい研究テーマに中学校の保健体育程度の知識ですら怪しい人間がぶつかっていったって何もできないのは目に見えています。うーむ、だれか身近で生殖系やっている人はいたかなあ、Simonetta氏がいるけど、奴はちょっと分野違いだしなあ、、あっ、そういえば、というので思い当たったのが、基礎生物学研究所の吉田松生さんでした。発生学会で精巣そのままライブイメージングという驚きの仕事のプレゼンを聞いたときはナマコのように胃を放出しそうになるぐらいびっくりしたのですが、その直後にGomafuがSpermatogoniaで発現しているかも、というデータが出たときにディスカッションにのっていただいた縁を頼って、黄体について教えて下さいっっっっ!とお願いしたところ、

「卵巣の件、私は素人ですが」

がーん。でも、、

「東京農大の小畑やよいさんにご相談されてはいかがでしょう。素晴らしい人です。」

やたー。小畑さん、実は卵巣関連でいろいろ検索していたら、ちらほら名前が出てきていたので、何かの機会にご相談できればいいなあと思っていたのですが、といって全く接点はなく、松生さんの御紹介ですというexcuseがあればなんとかなるだろうということで、直メール!!しかーし、、、

「私も卵子のことばかりで、そのとなりにある黄体に関しては全くの素人です。」

奥ゆかしすぎます。

「でも、畜産分野であれば、広島大学の島田さんが一番把握しておられますよ」

美しい日本語にため息。。。

小畑さんとは全く面識はなかったのですが、一昨年の島根の発生学会でようやくこの時のお礼を言うことができました。学会、なんやかんやいって、偉大です。ちなみにその島根での発生学会ですが、空港に到着後トイレに駆け込み、ちょっと我慢していた小を思う存分して開放感に浸り、人生のささやかな幸せを感じて出て行ったらいきなり携帯やらカメラを構えたおばちゃんに取り囲まれてしまいました。えっ?なにこれ??と、実は僕の隣で小をして一緒に出てきたおっちゃんが、なんとなんと安馬、いやいや、横綱日馬富士だったのです。本当のような嘘のような話。連れション仲間。うーむ、、Simonettaになってしまった。。。

ともあれ、こうして、「黄体」という、言ってしまえばかなりマイナーな組織をテーマにバキバキの分子遺伝学的解析を進めておられる広大の島田さんと出会って、一気に研究が加速することになりました。
 

中川 真一

北海道大学 薬学研究院 教授
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