粘菌の移動体は光に向かって進みます。全てが同じ方向に進むとcutしやすいので、そのためにちょっと工夫をします。元々はガラスのシャーレをいれて乾熱滅菌するための金属容器なのですが、縦方向に細く切れ込み(スリット)を入れます。缶の中は光が乱反射しないようにマット黒(模型用)を丁寧に塗って真っ黒にしてあります。この中に寒天プレートにまいた粘菌を入れてあげると、やがて移動体を作ってスリットの方向に移動します。
ここまでは普通。小宮さんは誰に聞いたか人毛でと書いてありますが、確かにそのような手法もあります。しかし、それは職人芸。とても私には無理。しかも、人毛は誰のでも良いと言うのではありません。白人の女性の髪の毛でないといけないのです。残念ながら、そんな人手近にはいません。
そこで、小さいナイフを自作します。鉄だと弱いので、タングステン製のピンを買ってきます(ハンズで)。これをダイヤモンドグラインダーかダイヤモンドのヤスリで大まかに削って形を出します。そのままだとザラザラすぎるので、砥石の登場です。この場に及んで、その昔包丁の研ぎ方を祖父に教わったのが役に立つなんて。その要領で滑らかにしつつ、先を鋭利にします。注意点としては、鋭利にしすぎるとslugが滑ってしまって拾えないので、ほんのわずかにザラザラが残っている方が良いです。
あとは、ひたすらcutします。もし、ウエスタンにでも使いたいくらいサンプルが必要ならば500個から1,000個のslugをcutします。全部cutし終わるのに、2〜3時間かかりますのでその間に発生が進んでしまいます。それを見越して時間差で発生させます。ここまでくるとそれこそお気に入りでないと出来ませんね。ただ、職人になるには(どこを目指している?)まだまだ未熟者なので、もっと鍛錬が必要だと思っています。