2014年12月14日(日)

サンプル調整(3)TDEマウントのコツ

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SIMは構造照明をあてた複数の画像から計算で高解像の画像を再構築します。したがって、シグナル、つまり光が全て計算通りにサンプルの中を進むような条件を作り出してやることが非常に重要になります。そのために必要なのが、適切な厚さ(0.17 mm)のカバーグラスを使うことと、適切な屈折率を持つマウント剤を使用することです。現状、様々なマウント剤がSIMで「使える」ことになっていますが、コスト面、クオリティ面、いろいろ考えると、マウント剤はTDEがベスト!!です。というか、TDE以外のマウント剤では綺麗なパラスペックル像を得ることはできませんでした。

TDEマウント剤の組成は以前にも紹介したHarvardのHCBIのページにある通り

9.7mL TDE (SIGMA166782)
240µL DABCO (SIGMA 290734)
160µL PBS

多重染色をする際には、アラインメント用の0.1 µm径のビーズ(Tetraspeck, LifeTechnologies T-7279)をPBSとの合計が同じ量になるように加えます。PBSはTDEのpH調整用なので入っとりゃ良いという感じ。気になる人は10xPBSと水で量を合わせて下さい。(12/25追記:蛍光ビーズは0.1 µmだと暗すぎる感じがあるので0.2 µmビーズ(T-7280)の方が良いかもしれません)

970 µL TDE (SIGMA166782)
24µL DABCO (SIGMA 290734)
10µL Tetraspeck
6µL PBS

マウントするときは浸透圧が急に変わると組織が変形するので、

10% TDE (100µl PBS, 1 ml TDE, total 10 ml)
25% TDE (100µl PBS, 2.5 ml TDE, total 10 ml)
50% TDE (100µl PBS, 5 ml TDE, total 10 ml)
97% TDE (100µl PBS, 9.7 ml TDE, total 10 ml)

と段階的に各々5 minずつ置換してやり、最後に上記のマウント剤で置換、マウントしてやります。TDEマウントへの精神的な壁がそのほかの市販のマウント剤に比べてちょっとだけ高いのは、この段階的に濃度を上げていかなくてはならないステップで、早くサンプルを見たくてしょうがないときに生殺し状態なのはイラチにはつらいわけです。しかもこの液、ベタベタしているので、マウントしたは良いけれども、カバーグラスの表面がTDEだらけ。これをきれいに拭いてやらないとマニキュアシールもできないし、そもそも検鏡できません。カバーグラスの表面を汚さずになんとか液置換できないか、ということで、シリコンが便利だったのでちょっと紹介します。

まず、染色が終了したら、蒸留水にチャポンとつけて、

ペーパータオルの上で水を切って(細胞を上に!)

シリコンを小さく切った上に乗せてやります。

すぐに10% TDEをのせます(50-100µlぐらい)。優しく乗せてやれば裏に回り込むことはありません。

ガラスはシリコンに意外とピッタリとくっつくので、傾けてやっても落ちません。思い切り傾けてアスピレーターで吸うことも可能です。

吸っては次の液をのせ、5分待って吸っては次の液をのせ。最後の97%TDEはとことん吸ってやって、蛍光ビーズ、褪色防止剤入りのマウント剤をのせ、それもとことん吸ってやります。こんなに傾けても大丈夫です。

あとは、スライドグラスに5 µlほどマウント剤をのせておき、そこにカバーグラスを細胞を下にしてかぶせて完了!

余分なマウント剤は3MMの濾紙を小さく切ったものをカバーグラスの縁にのせ、10分ぐらい待つときれいに除くことができます。

マニキュアでシールしてやって観察!表面に汚れが残ることがありますが、70%エタノールを染み込ませた綿棒でぬぐってやればきれいに取れます。

 

で、このシリコン台の作り方ですが、市販のシリコン液を固まらせてカッターで切っただけです。小学生の工作の時間みたいな話ですが、けっこうこういうの作るの、楽しいんですよね。みなさまも是非。(ムダなことに時間を使わずに市販のシリコンシート買ってきて切って使え!!という話もありますが、、、)

ここで便利ツール、バスコークの登場。

これ、PAPペンの代わりにもなるスグレモノで、いろいろなことに使えます。まずは1 mlピペットを適当な大きさに切って、ガラス板にバスコークを使って貼り付けて、シリコン板を作るための土手を作ります。

ピペット切ってるとこ

バスコークつけてるとこ

土手を作ってるとこ

漏れないように4隅はしっかり

そこでシリコン登場!シリコンといえばハイテクからローテクまで信越シリコーンさんですね。定番です。

50mlチューブでまぜまぜして注ぎ込みます。

60ºCで一晩おけば固まりますので、土手を剥がし、カミソリを使って丁寧にはじをはがしてやると、、、

きれいにシリコン板をはがせます。

あとは適当な大きさに切りまくって、、、(この際に、カバーグラスの大きさよりもシリコンが十分に小さくないといけません。カバーグラスの縁からシリコンまで離れていないと、すぐにTDEが回り込んできてしまいます)

再び登場、バスコークを角シャーレに乗っけて、

切り取ったシリコン台を貼り付けて出来上がり。60ºCで30分ぐらい置いておけばしっかりと固まります。

TDEの置換だけでなく、普段の抗体染色の時、パラフィルムの代わりに使うこともできます。調子に乗って大量に作ってしまったので1個千円ぐらいで売り出そうかな、、、

最終修正日 2014年12月25日(木)
中川 真一

北海道大学薬学研究院 RNA生物学研究室

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