2015年10月09日(金)

in situ / 超解像顕微鏡講習会 プロトコール (2日目 : Hybridization~Mount)

投稿者:

京都大学ウイルス研究所 大野研究室に所属する研究員の竹岩と申します。
2015年9月9日〜11日に開催されたin situ / 超解像顕微鏡講習会にて中川先生にご教授
いただきましたin situサンプル調整の方法(秘技)につきまして、後半2日目のプロトコールを
まとめましたので投稿いたします。

前半の1日目のプロトコールは萬年さんの記事をご参照ください。
また、プロトコールに間違い等がございましたら、コメント/訂正をお願いいたします。

2日目(1日目のHybridizationからの続き)の実験プロトコール

2日目に使用する試薬

(Hybridization後の)WASHで使用する試薬

WASH液

50% formamide
2x SSC
0.01% Tween-20

使用前に55℃に温めておく。

RNaseA buffer

500 mM NaCl
10 mM Tris-HCl pH 8.0
1 mM EDTA
0.01% Tween-20

RNaseA (ナカライ30141-14)

50% glycerolに10 mg/mlとなるように溶かす。
1.5 mlチューブに分注して65℃ 30 min加熱後、-20℃で保存。

RNaseH buffer

50 mM Tris-HCl pH7.5
50 mM KCl
10 mM MgCl2

使用時に終濃度1 mMとなるようにDTTを加える。
RNaseHはbuffer 150 µlあたり0.5 µl加える。

2x SSC WASH液

2x SSC
0.01% Tween-20

使用前に55℃に温めておく。

0.2x SSC WASH液

0.2x SSC
0.01% Tween-20

使用前に55℃に温めておく。

 

Probe detectionで使用する試薬

10x Blocking Reagent (Roche No.11096176001)

製品説明書どおりに調整後、分注して-20℃で保存。
10x Blocking Reagentは1xTBS+0.01% Tween-20 (TBST)で
1xになるように希釈する(1x Blocking buffer)。
1x Blocking bufferで抗体を希釈する。

 

・ 蛍光抗体で検出する場合に使用する試薬

1次抗体

anti-DIG mouse monoclonal[21H8] (Abcam #ab420)
anti-FITC mouse monoclonal (Roche #11426320001)
anti-FITC rabbit polyclonal (Abcam #ab19491)
anti-FITC rabbit polyclonal (Life Technologies #A889)
anti-FITC rabbit polyclonal (Life Technologies #711900)

上記のanti-FITC rabbit polyclonal抗体3種類(現ロット)はいずれも
同じぐらいの性能だそうです。

蛍光2次抗体

anti-mouse IgG Cy3 conjugated (MerckMillipore #AP124C)
anti-mouse IgG Cy2 conjugated (Abcam #ab6944)
anti-rabbit IgG Cy3 conjugated (MerckMillipore #AP132C)
anti-rabbit IgG Cy2 conjugated (Abcam #ab6940)
Streptavidin Cy3 conjugated (Sigma #S6402)

超解像顕微鏡のサンプルの場合、MountにはTDEを使用するので、
蛍光色素はCy2, Cy3を使用するのがよい。
(Cyanine系の色素はTDE Mountの条件で明るくなるので。)
また、超解像顕微鏡のサンプルを調整するときには、1次抗体、2次抗体ともに
通常の染色よりも4-5倍の濃度を用いるのがよい。
{中川先生の記事を参照
(https://ncrna.jp/super-resolution/tips/item/25-staining)}

 

・ アルカリフォスファターゼ染色で検出する場合に使用する試薬

アルカリフォスファターゼ標識抗体

anti-DIG AP conjugated (Roche #1093274)
anti-FITC AP conjugated (Roche #11426338910)

NBT (Roche #1383213)

BCIP (Roche #1383221)

levamisol (Sigma #L9756)

levamisolは0.5 mg/mlにしてフィルター滅菌。分注して-20℃で保存。

polyvinilalcohol (Sigma #363073)

Detection buffer

100 mM Tris-HCl pH9.5
50 mM MgCl2
100 mM NaCl
10% polyvinilalcohol

発色液

用事調整する。

Detection buffer 1 mlにつき
levamisol 10 µl
BCIP 3.3 µl
NBT 3.3 µl

を加えて調整する。混ぜたあとに黄色になることを確認。試薬が古いと褐色になるので注意。

 

Mountに使用する試薬

Thiodiethanol (Sigma #166782)

DABCO (Sigma #290734)

Tetraspeck 20 nm (Life Technologies #T-7280)

10% Thiodiethanol (10% TDE)

Thiodiethanol 0.5 ml
D3W 4.5 ml

計 5 ml

さらに、PBSを50 ml (1/100量)加えてpHを調整する。

25, 50, 97% TDEも同様に調整する。

 

97% TDE Tspec

用事調整する

Thiodiethanol 970 µl
DABCO 10 µl
PBS 10 µl
Tetraspeck 20 nm 10 µl

計 1 ml

TDEは粘性があるため、先太のチップで扱うとよい。

以上が2日目に新たに用意する試薬です。
この他、1日目に作製したPBS、4% PFA/1x HCMFを使用します。
それでは、つぎに2日目の実験手順について紹介します。

 

2日目の実験手順

WASH

WASH液を電子レンジで温めて55℃にする。加温台を55℃にしておく。
温めたWASH液を染色バット タテ型 とタテ型壷(これらの染色バットについては
1日目のプロトコールを参照)に入れて、55℃にしたwater bathに入れる。

water bathに入れた染色バット タテ型(中央から右側)とタテ型壷(左側)。
以降、染色バット タテ型は単に染色バット、タテ型壺は染色バット(小)と表記する。

染色バットはカバーガラスのホルダー2個につき、1組必要。今回はホルダーを3個使用する
ので、染色バットは2組用意している(ホルダーについても1日目のプロトコールを参照)。
染色バット(小)は2個用意して、一方にカバーガラスのホルダーを入れておく。

 

1 ハイブリオーブンからHybridizationのトレイを取り出して加温台に置く。
   カバーガラスをホルダーを入れていない方の染色バット(小)につけてWashしたあと、
   もう一方の染色バット(小)に入れたホルダーにセットする。
   セットし終わったら、ホルダーを染色バットのWASH液につける。55℃30 min 2回

    → この間に、染色バット2個にRNaseA bufferを入れる。染色バットは37℃にしたwater bathに入れる。
          RNaseAはまだ添加しない。

1の作業の様子

加温台に置いたトレイからピンセットでカバーガラスを取り出す。

カバーガラスをホルダーを入れていない方の染色バット(小)につけて洗う。今回は、
ホルダーを入れていない染色バット(小)は奥側、ホルダーを入れた方は手前側に設置。

染色バット(小)に入れたホルダーにカバーガラスをセット。
1日目のプロトコールにもあるようにカバーガラスに番号をつけておいて順番通りに
セットすること。また、細胞の付着している面をどちら向きに置くか決めておくことが大切。

 

2 RNase A bufferにホルダーを移す。37℃5 min

3 2で使用しなかった方の染色バットのRNase A bufferに10 mg/ml RNase Aを
   final 10 µg/mlになるよう入れてよく混ぜる(RNaseA溶液)。
   ホルダーをRNase A溶液に移す。37℃1 h

→ この間に2x SSC WASH液と0.2x SSC WASH液を染色バットに入れる。
      染色バットは2個とも55℃にしたwater bathに入れておく。

 

vectorをtransfectionしたサンプルの場合には、3の後にRNaseH処理を行う。

RNaseH処理

1 トレイにRNaseH buffer 100 µlをスポット。ドロップにカバーガラスを細胞面を
   下向きにかぶせてWash (トレイはHybridizationに用いたものと同様)。

   → この間にRNaseHをRNaseH bufferと混合する(RNaseH溶液)。

2 RNaseH溶液80 µlを別のトレイにスポットして、カバーガラスを細胞面を下向きにして
   かぶせる。トレイの蓋の内側にD3Wで湿らせたペーパータオルを張り付けておく。
   トレイに蓋をして、ラップで包む。インキュベーターに入れて37℃ 30-60 min

(1, 2の作業ともに直径18 mmの丸形のカバーガラスを使用した場合を考慮している。
スポットする溶液の量はカバーガラスの大きさに応じて変更すること)

 

4 2で使用したRNaseA bufferにホルダーを移す。 37℃ 5 min

5 2x SSC WASH液にホルダーを移す。 55℃ 30 min

6 0.2x SSC WASH液にホルダーを移す。 55℃ 30 min

 

Probe detection

蛍光抗体で検出する場合

1 染色バットにTBST (TBS+0.01% Tween-20)を入れる。ホルダーを移す。5 min 室温

2 1x Blocking buffer 100 µlをトレイにスポットする。カバーガラスを細胞面を下向きに
   してかぶせる。10 min 室温

   トレイはHybridizationで使用したトレイと同様のもの(1日目のプロトコール参照。以降、
   単にトレイと表記する場合はHybridizationで使用したものと同様のトレイのことを指す)。

   PrehybridizationやHybridizationに使用したトレイを洗ってパラフィルムを敷きなおして
   再度使用してもよい。パラフィルムがはがれにくいときは、60℃にした恒温乾燥器に
   入れておくときれいにはがれるようになる。

3 別のトレイに、希釈した1次抗体を80 µlスポットする。カバーガラスを細胞面を下向きに
   してかぶせる。ゆっくりと揺らすか、静置。60 min 室温

 

2と3の作業の様子

1x Blocking bufferをトレイにスポットする。Hybridizationの時と同様にトレイの底に
書かれてある番号の上にスポットしていく。

カバーガラスをホルダーから取り出して、1x Blocking bufferのドロップにかぶせる。
まえもってカバーガラスに番号をつけておいて、同じ番号のドロップにカバーガラスを
かぶせていく。細胞面は必ず下向き。

Blockingが終わったら、トレイからカバーガラスを取り出して、
(写真は奥側にあるトレイからカバーガラスを取り出しているところ)

1次抗体液のドロップにかぶせていく
(手前のトレイの1次抗体液のドロップにカバーガラスをかぶせている)

 

4 TBSTを染色バット(小)2個と染色バットに入れておく。一方の染色バット(小)に
   ホルダーを入れておく。ホルダーを入れていない染色バット(小)のTBSTに
   カバーガラスをつけてWashした後、もう一方の染色バット(小)に入れたホルダーに
   セットする。その後染色バットにホルダーを移してWash 5 min 室温 3回

5 希釈した2次抗体液80 µlを別のトレイにスポットする。
   カバーガラスを細胞面を下向きにしてかぶせる。40 min 室温

6 TBSTでWash 5 min 室温 1回 (4と同様の作業を行い、カバーガラスをホルダーに
   セットする)

7 PBSでWash 5 min 室温 1回
   (TBSTに含まれるTrisがアミノ基を持っており、次に行うPFA固定でPFAと反応
    してしまうため、PBSに置換する)

8 4% PFA/1x HCMFにホルダーを移して固定。10 min 室温

9 PBSでWash 5 min 室温

10 TBSTでWash 5min 室温 2回

    → 続いてMountの作業を行う。4℃で保存して、Mountは別の日に行うことも可能。

(注意) 上記の2, 3, 5の作業は直径18 mmの丸形のカバーガラスを使用した場合を考慮
している。スポットする溶液の量はカバーガラスの大きさに応じて変更すること。

 

アルカリフォスファターゼ染色で検出する場合

1 染色バットにTBSTを入れておく。ホルダーをTBSTに移す。5 min 室温

2 1x Blocking bufferを100 µlをトレイにスポットする。カバーガラスを細胞面を下向きに
    してかぶせる。10 min 室温

3 1000倍希釈した抗DIG-AP抗体を別のトレイに80 µlスポットする。カバーグラスを
   細胞面を下向きにしてかぶせる。ゆっくりと揺らすか、静置。60 min 室温
   (蛍光抗体で検出する場合の2と3の作業を参照)

4 カバーガラスをホルダーにセットしてTBSTでWash 15 min 室温 3回

5 カバーガラスをアルカリ性に平衡化する。
   カバーガラスをホルダーから取り出してペーパータオルの上に置く(細胞面は上向き)。
   カバーガラスをピンセットで持ち上げて、細胞の付着していない面をキムワイプ等で
   拭く。手袋をした手でカバーガラスの縁の部分をつまんで持ち上げてもよい。
   シリコン台の上にカバーガラスを置く(細胞面は上向き)。
   Detection bufferを200 µlをカバーガラスにのせる。5 min 室温
   4℃で発色させるときは4℃10 min

   (シリコン台やカバーガラスをシリコン台に置く作業については、Mountの1と2の作業も
    参考にすること)

6 発色液を200 µlカバーガラスにのせる。シリコン台ごと揺らしてカバーガラスの表面
   全体に行き渡らせる。シリコン台の蓋に水で濡らしたペーパータオルをはり付けて
   おく。シリコン台に蓋をして、ラップで包む。
   遮光して室温または4℃で静置、発色具合で時間を調節(4℃はovernight)

(注意) 上記の2, 3, 5の作業は直径18 mmの丸形のカバーガラスを使用した場合を考慮
している。スポットする溶液の量はカバーガラスの大きさに応じて変更すること。

 

Mount

Mountの作業については中川先生がその詳細を書かれた記事が既にありますので
(https://ncrna.jp/super-resolution/tips/item/61-tde)、ここでは簡単に紹介します。

 

1 染色バットにD3Wを入れて、ホルダーを移す。5 min 室温
   カバーガラスをホルダーから取り出してペーパータオルの上に置く(細胞面は上向き)。
   カバーガラスをピンセットで持ち上げて、細胞の付着していない面をキムワイプ等で
   拭く。手袋をした手でカバーガラスの縁の部分をつまんで持ち上げてもよい。

2 シリコン台の上にカバーガラスを置く(細胞面は上向き)。
   カバーガラス上のD3Wをアスピレーターで除いた後に10% TDEを50 µlをのせる。
   シリコン台ごと揺らしてカバーガラス表面全体に行き渡らせる。
   TDEがうまく行き渡らない場合は、チップでTDEの液面に軽く触れながら広げる。
   5min 室温

 

1と2の作業の様子

ホルダーから取り出したカバーガラスをペーパータオルの上に置く。細胞面は必ず上向き。
(写真ではペーパータオル左上にカバーガラスが置かれている)

シリコン台にのせる前に細胞の付着していない方の面をキムワイプ等でよく拭いておく。

拭き終わったらシリコン台の上に載せていく。細胞面は必ず上向き。

シリコン台はトレイにシリコン板を四角く切ったものを貼り付けたもので、
底には番号の書いた紙を張り付けておく。
シリコン台の作製方法については中川先生が以前に書かれた記事を参照してください。
(https://ncrna.jp/super-resolution/tips/item/61-tde)

カバーガラス上に残存するD3Wをアスピレーターで除いた後、
10% TDEをカバーガラスにのせていく。

TDEが広がらない場合は、チップで液面をこするようにして押し広げる。
カバーガラスには触れないこと。

 

3 10% TDEをアスピレーターで吸い取る。
   以降、2と3の作業を25% TDE, 50% TDE, 97% TDE, 97% TDE Tspecの順に行う。
   TDEの濃度が高いと粘性のために吸い取りづらくなるので、シリコン台ごと傾けながら
   吸い取る。

4 97% TDE Tspecをアスピレーターで吸った後、スライドガラスに97% TDE Tspecを
   7 µlのせてカバーガラスを細胞面を下向きにしてかぶせる(直径18 mmの丸形
   カバーガラスを使用する条件。カバーガラスの大きさに応じて液量は調整)。
   スライドガラスの中央付近にカバーガラスをのせることが重要 (後述)。
   また、DAPI染色をする場合はスライドガラスにのせる97% TDE TspecにDAPIを混ぜる。
   {中川先生の記事を参照(https://ncrna.jp/super-resolution/tips/item/25-staining)}
   97% TDEは超解像顕微鏡観察時に用いるレンズのoilと屈折率が同じであり、
   封入に使用することで、きれいな画像が取得できる。

5 カバーガラスから溢れた余分な液を吸い取るために、小さく切ったろ紙を
   カバーガラスの縁に置く。
   乾いたら、ろ紙を捨てマニキュアをカバーガラスの縁に塗る。

   以上でMountの作業は完了。

 

3以降の作業の様子

TDEの濃度が高くなるにつれて吸い取りづらくなるので、シリコン台を傾けながら
アスピレーターで吸い取る。

カバーガラスに97% TDE Tspecをのせて、カバーガラスをかぶせる。
細胞面は必ず下向き。
スライドガラスの真ん中(フロスト部分も含めた横幅の真ん中)付近が
最も観察に適している。
そのため、97% TDE Tspecをスライドガラスの真ん中付近にスポットして
カバーガラスをかぶせることが重要 (写真を参照)
また、真ん中付近にカバーガラスをのせるために、1枚のスライドガラスに
のせるカバーガラスは2枚までにする。

カバーガラスをかぶせた後、溢れた液を吸い取るために小さく切ったろ紙を
カバーガラスの縁に置く。上で述べたように、カバーガラスはスライドガラスの
中央に位置していることに注意。

乾いたらマニキュアをカバーガラスの周りに塗っていく。厚めに塗ること。

2日目の作業は以上です。

最後になりましたが、本講習会を開催していただき、中川先生、テクニカルスタッフの水戸様
、中川研の皆様に感謝いたします。また、講習会参加のための旅費をご支援いただき
有難うございました。(そして、まさかの忘れ物をして後日郵送していただく等大変御迷惑を
おかけしましたことをお詫びいたします。)
in situ hybridizationに関してほぼ素人の状態で参加したのですが、非常に丁寧に指導を
していただき、すごく勉強になりました。とりあえず用具一式をそろえin situの手技を身に
つけようという現状です。御指導いただき有難うございました。

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