2014年10月11日(土)

顕微鏡

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私の父は高校教師で物理と地学が専門です。山や川に遊びに行っては、石を割って、これは、砂岩だとか、花崗岩だとか、この地形はどうのこうの、と必ず解説してくれました。夜空を見上げては、星座や一等星の名前を教えてくれたり。なので、物心がついたころには自然と科学に興味を持ちました。なんで?どうして?と聞くととても丁寧に教えてくれる父親で、おかげで子供のころはいろんなものに興味を持ちました。自宅から父の高校までは、30 kmぐらいあるんですが、夏休みには父と兄と三人でよくサイクリン グで行きました。父の理科室にはいろんなものがあって、とっても刺激的でしたね。よくテレビででんじろうさんがやってくれるような、静電気を発生させる装置や、レーザー光線を出す装置とか、金属ナトリウムを燃やしたり、簡単な化学実験もやってくれました。いまでも鮮明に覚えてますね。

小学生のころは、特に身の回りのミクロの世界に惹かれました。父親に買ってもらったニコンの顕微鏡で、蝶の鱗粉や、花の花粉、鳥の羽など、飽きもせず、ひたすら顕微鏡の丸い視野をのぞきこんでました。また、池や沼の水をくんできては、緑藻やプランクトンをたくさん観察しました。特にミジンコが好きでしたね。真ん中がへっこんだホールスライドグラスに入れて、泳ぐ姿を何時間も見てた記憶があります。珍しいプランクトンに遭遇すると市の図書館に調べに行ったりもしました(真面目ですね)。市内の理科好きが集まるクラブで、自由研究で取り組んだミジンコの研究を発表した記憶もあります。

スライドガラスに試料を載せて、プレパラートを作る作業も好きでしたね。自分のお気に入りのコレクションを作っては家族や友達に自慢してました。この作業、いろいろ染色薬とか、難しい試薬を使うんですね。エオシンYとか、ゲンチアナバイオレット、カナダバルサム、、この専門用語の響きに興奮するような子供だったんです。

ある日、近所のデパートにあるカメラ屋さんで顕微鏡のスケッチ大募集的な、企画があり、日ごろ観察している花粉やプランクトンなど5点ぐらい描いて出したんですよ。そうしたら5点全部をお店の前に貼り出してくれて、さらにご褒美とかで、ぴかぴかの双眼鏡をもらいました。うれしかったですね。先日実家に帰ったら、ガラクタの中からこの双眼鏡を発見しました。レンズはボロボロにかびてましたが、この懐かしい思い出が甦ってきました。高校では、物理と化学を選択したので、特に教科としての生物に興味を持ったわけではなかったんですが、今思えば、この子供の頃の体験が将来の方向性を決めたんだと思います。

鈴木 勉

東京大学 工学系研究科 教授
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