2015年09月03日(木)

4.5SHは蜜の味(1)

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超ウルトラスーパーデラックススペシャル時間のかかった仕事がようやく世に出ました。現iPS研究所石田くんの7年越しの力作です。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/gtc.12280/full

mRNAのUTRにはレトロトランスポゾンSINE B1が随所に挿入されていますが、マウスの核内には4.5SHというSINE B1とよく似たncRNAが超大量に存在していて、SINE B1が逆位に挿入されたmRNAと相互作用して遺伝子発現を抑制している、という発見です。

面白いことに、この4.5SHはマウスやラットにしかありません。ヒトにはない、というのが原田文夫先生によるこのRNAの発見以来半世紀近く機能解析が行われてこなかった理由かもしれませんが、このncRNAの登場が小型齧歯類の進化につながると考えると夢が膨らみます。

ちなみにこの論文、いろいろありまして、レフリーに指摘された追加実験をしたら論文の後半部分が僕らの勘違いである可能性が高いことが判明して、その部分のストーリーは吹っ飛んでしまいました。超大作が短編小説みたいになってしまいましたが、その辺りの事情をポツリポツリ紹介していこうかなと思っています。。。
 

中川 真一

北海道大学 薬学研究院 教授
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