2016年03月10日(木)

Keystone symposium “Noncoding RNAs in Health and Disease”

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北海道大学遺伝子病制御研究所、廣瀬研助教の山崎です。領域の援助を受けて、2016年2月21〜24日、アメリカ、ニューメキシコ州サンタフェで開催されたKeystone symposium “Noncoding RNAs in Health and Disease”(Enhancer Malfunction in Cancerとのジョイントミーティング)に参加させていただきました。簡単ですが報告させていただきます。

昨年はKeystone symposium “Long Noncoding RNAs: From Evolution to Function ” に参加し、この際はアメリカ、コロラド州キーストーンでの開催で、今回はサンタフェでの開催で、北海道から成田、成田からデンバー、デンバーからアルバカーキと飛行機で乗り継ぎ、アルバカーキからシャトルでサンタフェに入るというなかなかの長旅でした。結構、時差ぼけに悩まされました。参加前はまずというか唯一サンタフェと聞いてイメージできたのは、宮沢りえの写真集ぐらいでしたが、ユニーク建物が多い街で、美術館や街中にアート作品があるような場所でした。歩きながら町並みを見ていましたが、写真集で有名な扉のようなものは残念ながら見当たりませんでした。北海道からですので、暖かいといいなと思っていましたが、結局サンタフェでも雪が降りました。

さてシンポジウムの内容ですが、lncRNAの機能的な分類を考える上で重要な話題がいくつかありました。これまでにも報告がありましたが、Keynote sessionでEric Olsonの発表があり、一部のlncRNAと分類されているRNAが数kDa程度の膜貫通型のマイクロペプチドをコードしており、カルシウムチャネルの活性を抑制していることを報告していました。この発表の際、このような例がどの程度あるか、また逆にmRNAについても、mRNAがRNAそれ自体として機能を持っているかについても考えるべきだといったことについて、議論がなされていました。また別のセッションでは、一部のlncRNAは転写されること自体が重要であり、特にRNAの配列自体は重要ではないケースがあるといったことも報告されていました。他にも、ある一群のncRNAがゲノム構造の制御に関わる特定の領域に結合していることがわかってきたということでncRNAの一つのサブクラスではないかという話もあり、これは全く聞いたことのない話だったので、興奮して聞いていました。   

また、非常に生理的に重要な機能を持つlncRNAについての報告がUT Southwestern/HHMIのJoshua Mendellから発表がありました。最近Cell誌に報告されたNORAD (Noncoding RNA Activated by DNA damage)というunspliced の5.3 kbの非常に豊富に(Actin mRNA並み)存在するlncRNAで、PUMILIO2の結合サイトを多く持っており、それによりこのタンパク質の隔離をすることで、細胞のゲノム安定性の制御に非常に重要な役割を果たしているという話でした。非常に切れ味鋭い研究と発表のわかりやすさに感銘を受けました。このように重要なlncRNAがまだまだあることを感じさせる発表でした。他にも、スタンフォード大学のHoward Changは、Decoding RNA functionと題し、RNAタクソノミと同様にncRNA中にあるRNAの働きを規定するルールを明らかにすることを目指し、研究を進めているようでした。発表内容は最近、Genes & Developmentに報告されたroX RNAに関するものなどでしたが、この研究がこれまでこのグループが続けてきた一連の研究の流れの中のものであることが話を聞くことでよくわかりました。また、彼らは種々のncRNAの研究手法についても開発をしていますが、その一つであるChIRP法(lncRNAが形成するRNP複合体を精製し、結合しているゲノム領域、RNAあるいはタンパク質を解析する手法)は他のグループでも使われつつあり、ncRNAの機能解析を行う際の一つのスタンダードになりつつあるように感じました。

私自身は、2日目にポスター発表を行いましたが、ポスターセッションは夜に2時間半ほどあり、多くの人が聞きに来てくれたので、最後は声が枯れてしまいました。話をしたPIの方がラボのポスドクを連れて来てくれたりということもあり、研究内容については好評で良かったように思います。来年も同様にlncRNA関連のKeystone symposium(“Noncoding RNAs from Disease to Targeted Therapeutics”と“Protein-RNA Interaction: Scale, Mechanisms, Structure and Function of Coding and Noncoding RNPs”のジョイントミーティング)が2月にカナダのバンフで行われますので、その際は是非、口頭発表でアピールできればと考えています。

昨年のキーストーンの帰りはトラブル続きで、飛行機が6時間遅れ、さらに荷物が届かないという事態になり、成田で丸一日足止めされましたが、今回もアルバカーキで危うくオーバーブッキングのため、飛行機に乗れないところでした。やはりアメリカ、気が抜けないところです。最後に今回の学会参加をサポートいただきまして、ありがとうございました。

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