2014年12月03日(水)

The 16th Tokyo RNA Club レポート(1)

投稿者: 山路 剛史 (ロックフェラー大学)

初めまして。ロックフェラー大学 Thomas Tuschl 研究室の山路剛史と申します。初めての登場なのに恐縮ですが、TRC16の感想文を投稿させていただきます。

まず簡単に自己紹介させていただきますと、僕はマウスの生殖細胞発生過程を遺伝学的アプローチから研究してきました。以前は細胞分化に伴う転写プログラムの制御を解析しており、non-coding RNAといえばXistによるエピゲノム制御くらいしか知りませんでした。2年前より現所属に移動し、spermatogonial stem cells (精子の元になる adult stem cells)の増殖・細胞死を支える転写後遺伝子発現調節について研究するようになりました。現在ではようやく、non-coding RNAといえばmiRNAが頭に浮かぶようになった程度の新参者です。もっともっと勉強したいのですが、研究と技術革新のスピードが早すぎて、最近話題になっているような non-coding RNA たちがどのような特徴をもったものなのか等、知らない事だらけです。今回は、熊本大学の中村輝先生にTRC16のことを教えていただき、勉強させてもらうつもりで参加いたしました。

まず驚いたのが、これほどハイレベルなミーティングが誰にでもオープンであることでした(しかも参加費無料!)。僕のような分野外の人間が飛び入りで参加できるなんて、有り難い限りです。僕以外にも、興味はあるけど機会がなかった、という他分野の方が参加していたのではないでしょうか。また、僕のような人間にとって助かったのが、気軽に何でも質問できる雰囲気です。トピックがフォーカスされているミーティングに特有の親近感のお陰で、非常に初歩的な質問をさせてもらうことができました(例えば、大きなミーティングで Jennifer Doudna さんがニューヨークに招待されたときは、大きな会場が大入り満員で質疑応答どころではありませんでした)。今回は質疑応答に加えて懇親会でもスピーカーの方々と沢山話す事ができて、とても有意義でした。

スピーカーは生化学からインフォマティクスまで、まんべんなく選ばれた印象を受けました。RNA biology を研究するうえで、こんなアプローチがあるのか、と参考になる情報が沢山ありました。特に僕の場合は、会場にいる皆さんが現象を捉える視点が新鮮でした。今更ではありますが、分野が違えば、当たり前の事が当たり前でなくなるという事でしょうか。

現在のRNA biology の世界は、急速な技術革新によって大きな転換期を迎えている印象を受けます。以前は取り組む事が困難であった問題点の多くが、アプローチ可能となっているのではないでしょうか。とてもエキサイティングな時代に仕事ができることを幸運と感じる一方で、新しい技術への小さな誤認が大きな落とし穴になってしまうような不安もあります。今回のトークで学んだ内容に心躍らされ、「いつか自分の仕事に取り入れよう」と思いつつアメリカに帰ったものの、真っ先ににやった実験はPCRミックスを混ぜプラスミドを作る、という古典的な作業なのでした。こんな僕ではありますが、みなさんとシェアできるような良い仕事が出来るように頑張ります。僕の実験の行く末を、2、3年後に尋ねやってください。

最後になりましたが、このようなオープンで素晴らしい会を運営してくださったオーガナイザーの中川さん、泊先生、新学術領域の皆様に心より御礼申し上げます。

山路剛史

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