私が研究をスタートしたのは、慶應大学の環境情報学部です。学部名からも察しがつくかもしれませんが、情報学のアプローチを用いた生物研究がはじまりでした。学部1年生から研究室に参加することができ、研究テーマも好きなことを自由にやれば良い、というサークルのような雰囲気の研究室でした。そんななか、ふとした縁からmicroRNAに興味をもったというのが運命的な出会いとなり、現在までずっとRNA研究を続けています。
時は流れて修士1年の時、Genome Informatics Workshopというバイオインフォマティクス分野の学会でポスター発表をした際に、Oxford Journal - JSBi Prizeという賞を頂いたことがあります。その際に日本バイオインフォマティクス学会の会報に寄せた「喜びの声」をグーグル検索してみたところ、次のような一文を書いていました。
「これから勉強や経験を通じて、生命現象を切り出していくスキルを磨いて行けば、いつか自分にしかみえなかった現象を、世界中にみせることができるようになるのではないかという理想を抱いて日々の研究に取り組んでいます。」
見返すとかなり恥ずかしい文章ですが、基本的な考え方は今も変わっていないと思っています。実際にこの後、博士課程では新しい環境で実験のスキルを伸ばすべく、ドイツのMax Planck Institute of Immunobiology and Epigeneticsに約2年間留学し、マウスや培養細胞を用いてmicroRNAを対象とした研究を行いました。これらの情報解析と実験のスキルをもとに、学位取得後は一貫して現所属でpiRNAを対象とした研究を行っています。
こうして思い返してみると、研究をすすめる過程で学んだスキルや経験、そして出会った方々からの影響が積み重なって、現在の研究活動の原動力となっています。この領域の一員として領域メンバーの皆様と一緒に活動することもまた、私にとって大きな財産となることと思います。
どうぞよろしくおねがいします!