タイトル通り、現在僕のラボで使っているin situ関連試薬のカタログ番号のまとめです。随時更新、追加していきますが、こっちのほうが良いとか、これはアカンとかありましたら、コメントいただけると助かります。
ラボで行われている実験の伝統や伝説のほとんどはただの迷信、というのは良くある話で、プラスミドプレップする時のリゾチームだとか、コンピテントセルのヒートショックだとか、RNA実験に使う水のDEPCだとか、まあ少しは変わるのかもしれないけれども本質的には変わらないよね、という話はゴロゴロしています。FISHにおいても伝説がありまして、それは、
DIGラベルしたプローブはマウスのモノクロでしか検出できない。
です。したがって、マウス由来の抗体で何かのマーカータンパク質を染めて二重染色したいときは、FITCラベルしたプローブをウサギのポリクロで見ないといけない、これはDIGラベルより若干感度が落ちるから困ったねえ、というのが勝手に僕が作った伝説ですが、今回、総括斑の超解像顕微鏡用の予算に少し余裕があったので、この伝説を検証することにしました。
結論からいくと
伝説はやっぱりただの伝説。DIGのポリクロめちゃそこそこ使える、でありました!!!。
2016/4/22追記:いろいろ試してみると、現状どうもやはりそこそこ使える、のレベルで、FITC/anti-FITC(Rb)/anti-Rb Cy2の組み合わせにはかなわないようです。難しいものです。
超解像顕微鏡。四ッ谷のZeissのショールームにせっせと通い、わんさかデータを撮ってもらい、これで論文書けるなら顕微鏡買わんでもいいやんかとかいうワルい考えもふと頭をよぎりましたが、無事、当新学術の総括班の予算で設置されることになり、よかったよかった、です。これからはこいつを使い倒すぞ!ということで、宝の持ち腐れにならないよう、どなたさまもご気軽にご相談下さい。
カバーグラスを洗うやり方としては
1)硝酸や硫酸などの強酸
2)ただの洗剤
があって、プラスミド精製に例えるなら1)がセシウム、2)がキアゲンみたいなところがあるというのは前回書いた通りなのですが、そもそもの問題として、あんなに激しくシャカシャカして、傷かつかないかということなのですが、気になるので顕微鏡で覗いてみました。
超解像であろうと通常のコンフォーカルであろうと、はたまた普通の蛍光顕微鏡であろうと、二重染色の解釈には定量解析がしばしば要求されます。共局在の定量解析の定番といえば、やはりフリーソフトImageJ。ポケモンではないですが、ImageJには進化型があるらしく、その名もFiji(Fiji Is Just ImageJ)。早速こちらのページからインストールすると、PluginやAnalyzeプルダウンメニューにわんさかアイテムが入っていて、お得感満載。共局在の定量化はAnalyze>Colocalization>Coloc 2を使うようです。
ミニプレップばりに基本中の基本で、経験ある人にとっては常識すぎて今更感漂う手順ですが、初めての人にはそれなりに緊張感漂うRNAプローブの作り方をまとめておきます。
うまくいっているときはプロトコールを変えないのが鉄則です。しかしながら、ついつい良さそうな噂を聞きつけると試したくなるのも心情。かといって、そんなことばかりしていては肝心の仕事は前に進みません。僕らが使っているin situ hybridizationのプロトコールはかれこれ20年ぐらい何も変えず、それでうまくいっていたので今更いじるところもなかろうと思っていたのですが、衝撃の事実が。。。
SIMは構造照明をあてた複数の画像から計算で高解像の画像を再構築します。したがって、シグナル、つまり光が全て計算通りにサンプルの中を進むような条件を作り出してやることが非常に重要になります。そのために必要なのが、適切な厚さ(0.17 mm)のカバーグラスを使うことと、適切な屈折率を持つマウント剤を使用することです。現状、様々なマウント剤がSIMで「使える」ことになっていますが、コスト面、クオリティ面、いろいろ考えると、マウント剤はTDEがベスト!!です。というか、TDE以外のマウント剤では綺麗なパラスペックル像を得ることはできませんでした。
超解像顕微鏡は解像度が上がる分、ピクセルあたりのシグナルは当然弱くなるので、明快なイメージを得るためには通常の抗体染色よりも強いシグナルが必要となります。とはいえ、抗体染色の良し悪しは抗体の性能に大きく依存するので、濃度を上げる、反応時間を長くする、といった小手先の工夫では大して変わらないというのも事実です。抗体が染まらんかったら自分で作れ!!これこそが学生時代から叩き込まれた王道、という方も多いのではないでしょうか。