東京大学 新領域創成科学研究科 教授
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10年前(2007)の今頃といえば、当時、上野の不忍池の近くにあったJSTの借りうけていた事務所にて、さきがけの面接があった頃である。千代田線の湯島駅でおりて、面接会場に向かった。その日は、梅雨明け後の非常に暑い日であったことを覚えている。薄暗い階段を上がっていった、つきあたりの事務室が面接会場であった。
読書の秋ということで、私のお気に入りのサイエンスフィクションを1冊紹介したいと思います。「カンター教授のジレンマ」(カール・ジュラシック著、中森道夫=訳、文藝春秋 1994年)です。この本は、私が修士課程の学生の時に、ワクワクしながら読んだ一冊です。富田は、こういうストリーが好みなのか、と思っていただいても構いません。
前回の投稿、公式連載「はじめが大事?」の続きを書かせてもらいます。
修士2年目の夏前の研究会でのネガティブな研究結果発表の後、渡辺公剛先生がベンチにきて、「あなた、もう飽きたかい?」とおっしゃられました。植物ミトコンドリアにおけるRNAエディティングの試験管内実験がうまくいかなかったこともあり、博士へ進学することを希望していた私は、内心「ほっと」し、動物ミトコンドリアにおける遺伝暗号変化の分子メカニズム解明にテーマを変えることになりました。今でも、その時の状況、自分の心境は鮮明に覚えています。