大阪大学 大学院工学研究科 助教
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最近はミジンコを使った研究も少し状況が変わり、いわゆるdescriptive な研究から脱却し、ゲノム編集技術により遺伝子機能解析を行えるようになってきました。この技術を用いてlncRNA、DAPALR の研究を進め、ここ5 年は、振り返ればDAPALR がいる、と言っても言い過ぎではないような気がしています。昨年発表したDAPALR 論文の紹介は、ブログの研究成果紹介のところに記載させていただきましたので、少し重なってしまいますがここ5 年の私のRNA 研究を振り返ってみたいと思います。
大変遅くなってしまいましたが、昨年5 月に発表しましたオオミジンコのlncRNA、DAPALR 論文。研究のヒストリーを紹介させていただきます。
皆様、明けましておめでとうございます。2017 年はネオタクソノミの領域に前期に続いて採択していただいただけでなく、公募班員の足達さんとのコラボにより私たちが研究しているミジンコの長鎖非コードRNA、DAPALR の作動エレメントに結合するタンパク質の候補を見つけることができ、大変良い1 年となりました。
初めて化学物質による環境汚染を指摘した古典的名著、「沈黙の春」が出版されてから既に55年が経過しました。執筆者であるレイチェル・カーソン女史はその中で、人間の合成殺虫剤、除草剤の過度の使用に警鐘を鳴らしただけでなく、その解決策についてまで言及しました。この中で”生命の一番小さな単位−細胞と染色体を見つめることによってこそ、神秘を見抜くに必要な、もっと広いヴィジョンを見出せるといっていい”と述べています。
私はこの2年間、DAPALR と名付けたミジンコの性決定遺伝子 Dsx1 を制御する長鎖ノンコーディング RNA の解析を進めてきました。一昨年の春、公募班に参加させていただいたころ、ノックダウンや過剰発現で面白い表現型が出るものの、DAPALR の分子の実態については謎ばかりで、当時の箱根の火山状況のようにこの先どうなるのか先行きが不透明でした。本領域でたくさんいただいたアドバイスが本当に参考になり、おかげさまで少しずつですが実態が明らかなってきたように思います。今回は、最も印象に残っている研究成果について紹介いたします。
公募班員として本領域に参加させていただいております大阪大学の加藤です。
先月、ドイツ、ハイデルベルクで行われた EMBL Symposium “The Non-Coding Genome”に本領域よりサポート頂き、参加してきましたので、簡単にご紹介させていただきます。