近畿大学 農学部 教授
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5年前と言えば,僕が近畿大学に異動してきた年である.九州大学から一緒ついてきてくれた3人の学生とともに私大という未知の環境でラボを一から立ち上げるため,四苦八苦していた.この3人がいたおかげで,どれほど救われたことか.今はみなラボを去り,研究者や会社員としてそれぞれサイエンスに携わりつつ,自身の道を進んでくれている.そして,僕は相変わらず悪戦苦闘しながらも,5年前にはまだ高校生だった学生に囲まれて,何とか研究を続けられている.毎年卒業研究のために10人前後学生を一人で面倒見る.学生の数だけ,毎年卒研テーマを考えなければならない.当初はそんなの無理!と思っていたが,5年たって振り替えると,結局毎年新しいテーマを考えているわけではないことに気づく.
近畿大学農学部の佐渡です.ほ乳類のメスにおけるX染色体不活性化で中心的な役割を果たすXist RNAについて研究しています.もうずいぶん長いこと,正常には機能しない変異型Xist RNAを発現するマウス胚でX染色体不活性化がどのような影響を受けるのか解析していますが,昨年ようやくその成果の一部を論文としてまとめることができました(Sakata, Nagao et al., Development 144, 2784-2797).