新学術領域研究「ノンコーディング RNA ネオタクソノミ」の公式ブログです。コメントはどなたでも歓迎します。
いわゆる「次世代シーケンサ(NGS)」が使われはじめたのは、およそ10年前のことでした。その当時所属していた研究室でも、「なんだかスゴイ機械がでてきたらしい!」といって、早速興奮気味に勉強会が開催されたことを覚えています。初期のNGSである454がリリースされた2005年に私はまだ学部生で、実際にNGSを使って研究するようになったのはさらに数年先のことでしたが、それまで基本的にデータベースに登録されているシーケンスデータを用いてバイオインフォマティクス解析を行っていた私にとって、自身でデータを取得するところから研究を始められるということはパラダイムシフトでした。
東大富田研の山下です。最近、結晶化実験に対してRを用いたラボハックを試み、ささやかな達成感を得られたので紹介させていただきます。
私たちの研究室の主要な実験手法のひとつはX線結晶構造解析です。なにはなくとも生体高分子(タンパクなど)の結晶が必要で、結晶ができるかどうかが主要課題です。結晶は精製したサンプルを沈殿剤と混ぜて溶解度を下げ、析出させることで作成します。タンパクは別にきれいだから結晶になるわけではなく、不定形に沈殿するよりも周期的に並んだ状態(=結晶)のほうが自由エネルギー的に有利になりやすい、という現実的な理屈がそこにはあります。とはいえ分子のフレキシビリティや安定性などとの兼ね合いもあるので単純に成否を判断することはできません。むしろ結晶化予測に関してはいまだに人知はおろか計算機でも及ばず、数多くの沈殿剤条件(pH, 沈殿剤や添加する塩の種類や濃度)を試して良いものを探るというスクリーニング実験が必須となっています。
つい最近、パスポートの有効期限が切れている事に気がつきました。慌てて申請手続きを済ませ、使えなくなった古いパスポートのスタンプやビザをパラパラと眺めていると、10年前の記憶がよみがえってきます。パスポート取得日は2006年10月。私がポスドクとしてアメリカに渡る直前に更新したものです。思い起こせばその翌年の2007年は、これまでの人生で一番タフな一年でした。
For all of us up here, it's a huge honor to put this uniform on every day and come out here and play. And every member of this organization, past and present, has been calling this place home for 85 years," "There's a lot of tradition, a lot of history and a lot of memories. Now, the great thing about memories is, you're able to pass it along from generation to generation.
これは2008年、旧ヤンキーススタジアム最終戦の試合終了後のこと、ヤンキース主将ジーター選手が、突然マイクを持ってファンに語りかけた言葉の一部です。10年前の2007年はちょうど、私にとっては夢のような場所、歩いて通える世界最高峰のサイエンス倶楽部、ロックフェラー大学、あと、地下鉄に乗ればヤンキースタジアムというニューヨークシティー(NYC)にて、博士研究員をしておりました。この両者には、歴史と伝統が醸し出す厳しさの中にも暖かみのある”Home”のような空気感、なんとも言えない五感を研ぎ澄まされるような心地よさがあるという共通点がありました。
Pink Floyd繋がりというわけでもないですが、同じく英国のバンドThe Policeが1983年にリリースしたシンクロニシティという有名なアルバムがありまして、これを初めて耳にしたのは厨二病真っ盛りのころ。しょっぱなのSynchronicity IのA connecting principleから美しく韻を踏んだサビの部分の難解な歌詞は中坊にとってはまさに猫にマタタビで、意味は良くわからないけれども世の中の真理に触れたようなプチ悟り状態、ヤクザ映画を見た後に肩で風を切って歩きたくなる症候群にかかってしまったのはちょっと恥ずかしい遠い思い出です。
息子の理科の教科書をめくっていたら、次のような文が目に入ってきました。“月の公転と自転は同期しているため、地球から月の裏側を見ることができない・・・。”なかなか魅惑的な響きです。そういえば、月の裏側に作られた秘密基地が登場する空想小説があったような・・・
さて、月の裏側と聞いて、別の理由で幻惑されたのは、きっと私だけではないでしょう。そんなことを書いていたら、頭の中をピンクフロイドのDarkside of the moonのメロディが流れ始めました。ロック音楽史上燦然と輝くこの名盤は、1973年にリリースされて以来、15年にも渡ってヒットチャートにランクインし続け、プログレッシブロック(プログレ)の代名詞にもなっています。私がこの音楽に出会ったのは、高校生の頃、毎日欠かさず立ち寄っていた中古レコード店で、ようやく手に入れたLP盤ジャケットを大切に抱えて、いそいそと家に帰ったことを覚えています。ピンクフロイドとの初遭遇でした。それ以来、この音楽はいつも私の周りにありました。
北大 廣瀬研の特別研究員の中條と申します。
パラスペックルの骨格分子であるNEAT1長鎖ncRNAが、通常のRNA抽出法ではほとんど水層に抽出されずにタンパク層にトラップされていたことを見出し、そこを出発点にした論文を最近報告することができ、中川先生から、研究が始まった経緯について書いてと依頼され、この記事を書く機会をいただきました。
新しい研究が始まる経緯を大別すると、①仮説やビジョンに立脚したプロジェクト型研究と、②偶然出くわしたことを基点としたセレンディピティ型研究に分けられると思います。 今回の私の研究は、典型的な後者ですが、そのまっただ中にいた当人にとっては、当たり前にできるはずの実験がうまくいかない状況を何とかしようともがいて、虚空に手を伸ばし続けることで糸口をつかんだ研究でした。
大阪大学 河原研究室 助教の中濱です。「RNA」と「免疫」をキーワードとし、研究を行っています。今回、領域にご支援頂き、3月12日から17日まで、アメリカ、カリフォルニア州のベンチュラで開催されたGordon Research Conferences – 2017 Meeting - RNA editingに参加してきました。