新学術領域研究「ノンコーディング RNA ネオタクソノミ」の公式ブログです。コメントはどなたでも歓迎します。
大学院入試も終わり、研究室に配属されたのは1992年9月。最初に与えられたミッションは、『形態誘導因子エピモルフィンのファミリー分子を同定せよ』でした。今なら配列をBlastに投げて3秒で終わる作業ですが、当時は縮重プライマーを用いたPCR→PCRフラグメントのクローニングとアクリルアミドゲル電気泳動でのシークエンス→部分断片を用いたλgt10ファージライブラリースクリーニング→全長をつなぎ合わせるサブクローニング、と、それなりに手間のかかる仕事でした。とはいえ、技術的には確立している実験ですし、やる事は決まっていますから、体力だけは自信がある人間向けの実験であったと言えましょう。そして誰しも20代の頃は体力に自信があるものです。
今年もやってきました。冬の風物詩、分子生物学会です。ノンコーディングRNA関連のシンポジウムやワークショップをちょっと拾ってみますと、あるわあるわ、、、
JAJ!! JAJ!! ジェイ、エイ、ジェー!! ジェイ、エイ、ジェー!
U、S、A!!!みたいなノリですが、無事、このゴロの良い言葉の日豪合同RNAシンポジウムが終了いたしました。このJAJ、なにかと良くできていて、まず、語呂が良い。あと、日中だか中日だか、日韓だか韓日だか、まるで子供の意地の張り合いのように先手番を取りたがるややこしい問題を一気に解決してくれる、Joint Australia-Japan RNA meeting & Japan-Austraria Joint RNA meeting。このどっちとも取れる素晴らしき名称のミーティングにRNAをこよなく愛するおじさん達と若者たち、大挙して赤道を越えて行ってまいりました。
私が研究室に所属して最初に与えられたテーマは、カブラハバチ(膜翅目)の精子形成過程の観察である。膜翅目昆虫は半数倍数性というかなり変わった性決定様式を持っており、二倍体の個体は雌となり、半数体が雄となる。ところが、雄の配偶子である精子はもちろん半数体なので、半数体の生殖細胞から半数体の精子が出来るはずである。これらのことから、膜翅目昆虫の精子は減数分裂において、ちゃんと「減数」していない(還元分裂でない)ことが予想されるが、詳細な解析は行われていなかったと思う。わたしの最初にやったことは、カブラハバチの精巣のフォイルゲン染色(核染色)と、精巣のパラフィン切片を用いた細胞の形態観察である。カブラハバチの精子形成における減数分裂を観察することにより、非還元的減数分裂という面白い現象の詳細を明らかにし、さらには還元分裂を行う雌との比較により、減数分裂の制御メカニズムを探ろうとするものであった。
と、エラそうに書いたが、実はこのテーマ、あまり進まなかった。
僕はNGS解析の専門家ではありませんが、たぶんこれ、ここ数年のうちにPCR並に当たり前の技術になるでしょうから(学生のころはPerkinElmerのPCRマシーンが眩しかった、、、)、猿でも出来るレベルのNGS解析の解説記事を不定期でアップしていこうと思います。以下、埼玉大及び熊本大学の集中講義で使用した資料です。
紆余曲折な研究人生を歩んできたのですが、初めてRNAに関わった仕事を紹介したいと思います。
博士課程のテーマの一環として取組んだのが、細胞内におけるmRNAの蛍光1分子観察でした。当時は、阪大の柳田敏雄研で師匠の船津隆先生を中心として、水溶液中の蛍光1分子観察が試験管内(顕微鏡下の観察チャンバー内)で、世界で初めて成功し、1分子生理学の黎明期でした。次は、細胞内、という事で、新設の船津研では、試験管内におけるシャペロニンGroELの蛍光1分子観察(当時:東工大の吉田賢右先生、田口英樹先生との共同研究)と平行して取組んでいました。研究室の立上をしつつ、新規テーマ2つの立上という事で(シャペロニンの方は当時4年生だった上野太郎さんと一緒に立上)、てんやわんやしていた記憶があります。