新学術領域研究「ノンコーディング RNA ネオタクソノミ」の公式ブログです。コメントはどなたでも歓迎します。
1月も終わりとなりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
5年前という事で、2014年のメールを読み返してみました。すると、驚くほど、現在(2019年)と同じような内容のメールを送っており、問題意識が、どうも5年間であまり変わっていないようである。 矢野真人さんのいう所の臨界期をとうに超えてしまっているのかもしれません。
そんな中、長年かけた仕事がまとまったのは、筆頭著者の増渕岳也さんの頑張りもさる事ながら、所属研究室の上田卓也先生、原田慶恵先生の寛大な御指導、指導教官の船津高志先生の御協力、そして、泊さん、廣瀬さん、中川さんを初めとし た、本領域の多大な御支援の賜物であります。関係者の皆様の、5年間の変わらぬ御支援に感謝致します。
このような経緯で、「人狼ゲーム/汝は人狼なりや? (Are You a Werewolf?)」にインスパイアされ、ラボミーティングのためのオリジナルゲーム「汝は王なりや? (Are You a King?)」(仮称) を考えた。
▶ 基本ルール
カードを引いて、ランダムに赤・黒2チームに分かれる。それぞれのチームには、「王」が1人いるが、それが誰なのかは分からない。「王」は、ミーティング中のどこかで、必ず1度は質問をしなければならない。最後に、それぞれのチーム内で相談し、相手チームの「王」が誰なのかを予想する。相手チームの「王」を当てたチームが勝ち。
臨界期とは、神経回路網の可塑性が一過的に高まる生後の限られた時期であり、生涯にわたる学習とは一線を画する、とあります。今回のブログのお題、5年前と変わったこと、変わらないこと。さて5年というと我が家では、子供が1歳から6歳、4歳から9歳へと成長しました。子供は、出来ないことが出来るようになったり大きな変化、進歩だらけです。一方、私は、変わってない、進歩してない?子供と相対的な比較では老化を除いて明らかに変わってないに類するところですが、さてどうでしょう。
この5年間を振り返ってみると、大きく変わったことと言えば、勤務場所が産総研に変わったことと、これまで温めてきた研究成果がやっといくつか論文の形になり、日の目を見たことでしょうか。これまで一貫してエピジェネティックな現象、特にX染色体の不活性化に興味を持って研究を続けています。少し研究のインキュベーションの時間が長い欠点がありますが、動物を使う実験が主なので時間がかかってしまうという理由(言い訳?)があります。
この5年の変化、変わったこと変わらなかったこと、、、
振り返ってみても、基本的な部分は変わっていないなと感じます。研究の楽しさも、興味を覚えることも、人とずれているところも、、、
最近はミジンコを使った研究も少し状況が変わり、いわゆるdescriptive な研究から脱却し、ゲノム編集技術により遺伝子機能解析を行えるようになってきました。この技術を用いてlncRNA、DAPALR の研究を進め、ここ5 年は、振り返ればDAPALR がいる、と言っても言い過ぎではないような気がしています。昨年発表したDAPALR 論文の紹介は、ブログの研究成果紹介のところに記載させていただきましたので、少し重なってしまいますがここ5 年の私のRNA 研究を振り返ってみたいと思います。
私は本領域で、piRNAと呼ばれる非コードRNAによる転写制御の研究を一貫して進めてきました。したがって、この5年間で一番の「変わったこと」は、もちろん「piRNAがどのようにゲノムに作用しているのか」の理解の深まりにあると思います。この話題については今投稿中の論文が掲載された際に苦労話?も含めてじっくり語る機会があると信じて、また、中川さんと泊さんからネオタクソノミブログのアピール効果はスゴイ!と伺ったこともあり、今回は少し違う話題に焦点をあてたいと思います。
昨年私は、RNAバイオベンチャーを設立いたしました。いい機会なので今日はその経緯について書きたいと思います。