中川 真一

中川 真一

北海道大学 薬学研究院 教授
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2015年09月03日(木)

4.5SHは蜜の味(1)

超ウルトラスーパーデラックススペシャル時間のかかった仕事がようやく世に出ました。現iPS研究所石田くんの7年越しの力作です。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/gtc.12280/full

mRNAのUTRにはレトロトランスポゾンSINE B1が随所に挿入されていますが、マウスの核内には4.5SHというSINE B1とよく似たncRNAが超大量に存在していて、SINE B1が逆位に挿入されたmRNAと相互作用して遺伝子発現を抑制している、という発見です。

超解像であろうと通常のコンフォーカルであろうと、はたまた普通の蛍光顕微鏡であろうと、二重染色の解釈には定量解析がしばしば要求されます。共局在の定量解析の定番といえば、やはりフリーソフトImageJ。ポケモンではないですが、ImageJには進化型があるらしく、その名もFiji(Fiji Is Just ImageJ)。早速こちらのページからインストールすると、PluginやAnalyzeプルダウンメニューにわんさかアイテムが入っていて、お得感満載。共局在の定量化はAnalyze>Colocalization>Coloc 2を使うようです。

インストールが済んだところで、いよいよwndchrmを使ってみます。手始めにこの細胞

たちを分類出来るか見てみましょう。まずはこの記事の下のほうにある「添付ファイル」のところにあるwndchrm_demo/zipをダウンロードして解凍してみてください(こちらからでもダウンロードできます)。wndchrm_demoというフォルダの中に、細胞4種類A, B, C, Dそれぞれについて20枚の画像が別々のフォルダに入っています。ここではDocumentフォルダ(「書類」フォルダ)直下にwndchrmというフォルダを作って、解凍した親フォルダのwndchrm_demoをその中に入れた時の操作例を示します。ちなみに画像は基本的にTIFF形式。白黒でもカラーでも使えます。今回は白黒です。

タイトル通り、現在僕のラボで使っているin situ関連試薬のカタログ番号のまとめです。随時更新、追加していきますが、こっちのほうが良いとか、これはアカンとかありましたら、コメントいただけると助かります。

ミニプレップばりに基本中の基本で、経験ある人にとっては常識すぎて今更感漂う手順ですが、初めての人にはそれなりに緊張感漂うRNAプローブの作り方をまとめておきます。

今回wndchrmをインストールしたMacのOSXはYosemiteですが、大概のOSXで動くと思います。まずはツールをインストールするための準備。以前の記事の「NGSデータをIGVブラウザで見るまで」の「Section III NGS解析環境づくり-基本Mac OSXの場合」のところにありますが、Xcode、Command Line Tools、homebrewがインストールしてあることが前提です。

んー、これなんか見た目違うなあ、でもどう違うか説明しろと言われても、、、

顕微鏡観察をしていると、こういう状況に良く遭遇します。ものすごくはっきりとした違いであればコントロール、実験区、それぞれ写真をバーンと出してどんなもんだいと胸を張っていれば良いのでしょうが、微妙な差である場合はrepresentative imagesですよ、っといって出したとしても、レフリーを納得させることは至難の技です。そういう時にもしかすると切り札となるかもしれないツール、wndchrmを紹介します。

うまくいっているときはプロトコールを変えないのが鉄則です。しかしながら、ついつい良さそうな噂を聞きつけると試したくなるのも心情。かといって、そんなことばかりしていては肝心の仕事は前に進みません。僕らが使っているin situ hybridizationのプロトコールはかれこれ20年ぐらい何も変えず、それでうまくいっていたので今更いじるところもなかろうと思っていたのですが、衝撃の事実が。。。

2015年02月24日(火)

マテメソ

マテリアルアンドメソッド、通称マテメソがごっそりsupplemental materialsになっている論文をここ数年良く眼にするようになってきました。そもそも、この、supplemental materials。僕が大学院にいた頃は存在すらなかったわけですが、最近ではクソ思慮深いレフリーの要求に丁寧に答えていると論文の容量がどんどん膨れ上がり、本体の図の数よりsupplemental figureの図の数が多い、なんていう冗談みたいな状況にもなりがちです。このあたり、研究者が研究者の首を締めているのだからざまあない、わけですが、本体の字数制限の犠牲に真っ先になるのが、マテメソの様な気がします。たしかに、論文を「物語」として読む場合にはマテメソはそれほど重要な要素ではありませんし、「物語」の面白さがクソ思慮深いエディターに最重要視される昨今では、どんどん扱いが小さくなってしまうのも仕方のないことかもしれません。しかし、しかしです。実験の再現性、ということを考えると、やはり、マテメソ、軽んじるべからず。です。まずはこちらをご覧ください。さて、A, B, Cでprobe A, Bの分布がえらく違うのはよくわかっていただけると思うのですが、これ、どのような実験条件の差かお分かりになりますでしょうか。

Keystone Meetingに初めて参加したのは博士課程の1回生から2回生になる時で、ちょっと背伸びをしたいという気持ちが強くなる時期であったこともあり、学振DC1のサポートをいただいていて旅費や参加費を自腹で出さなくても良かったという事情もあり、上の世代の先輩方があれは良い、あれはすごい、さすがKeystoneだ、と手放しで絶賛されるミーティングはいったいどのようなものだろう、と、いちびって参加したのですが、語学力の問題があり、そもそも基礎知識が圧倒的に不足したことも災いして基本ぼっち状態。最終日のディナーでは微妙な笑みを仕方なく浮かべながらひたすら酒を飲み続ける気味の悪い東洋人の隣に座る羽目になった方々はさぞ気味悪かったと思いますが、一つの夢がはっきりと破れたことを自覚して帰国したのを昨日の事のように良く覚えています。

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