毎日を何気なくお気楽に過ごしていた私にとって、御縁で伴侶となった塩見春彦についてアメリカに渡ることに何ら抵抗はなかった。博士過程への進学も魅力的だったが、塩見曰く「留学は数年」ということだった。博士は日本に帰ってきてからでもいいし、旦那が働いているあいだ、私はテニスをしたりNYやDCに行ったりで、海外生活を満喫しようと密かに目論んでいた。が、アメリカに着きGideonに出会ったとたん、「家に毎日一人でいても退屈だから僕のラボに来て仕事しなさい」といわれた。彼もNorthwesternからUPENNに移ったばかりだったし、人手を欲していたのは確かである。私の淡い目論みはGideonの一言で脆くも崩れ去ったが、こうして私は「RNA」に出会った。そしてお互い飽きもせず、未だにお付き合いさせていただいている。