【計画研究5】高次神経機能制御に関わるncRNA機能の解明

脊椎動物を含む多くの高等動物において、神経系特異的に発現するncRNAが数多く同定されており、これらは神経回路形成・作動において機能する単一のncRNAタクソンを形成している可能性があります。本研究は、遺伝学的手法を用いた効率的な解析が可能であるショウジョウバエをモデル系として、ncRNAによる高次神経機能の制御機構の解明を目的とします。

現在までに、14種類の神経系特異的ncRNAを同定しており、そのうちの一つ、Lobe-less RNAが、学習・記憶の脳内中枢であるキノコ体の形態形成に必須であり、神経回路の形成に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります。Lobe-less RNAをはじめとするこれら神経系特異的ncRNAの突然変異系統において、神経回路形成における表現型を詳細に解析し、細胞レベルでの作動原理を明らかにします。また、上記ncRNA変異系統の表現型を指標に、これと強い遺伝学的相互作用を示す突然変異のスクリーニングを行い、ncRNAとの相互作用を生化学的に検証することで、作動装置の構成要素を明らかにします。

これらの研究によって得られた情報から共通の作動エレメントを同定することにより、高次神経機能を制御するncRNAタクソンを確立します。

影山 裕二 (KAGEYAMA, Yuji)
  • 神戸大学
  • 遺伝子実験センター
  • 准教授

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