【計画研究2】ncRNAのケミカルタクソノミ

細胞内のRNAは転写後に様々な化学修飾(RNA修飾)を受け、その本来の機能を発揮することが知られています。RNA修飾はRNAに物理化学的な性質を付与し、細胞内における安定性制御、細胞内局在の決定、RNA結合タンパク質との相互作用、RNAプロセシングの制御、遺伝暗号の解読、翻訳調節、遺伝情報の変化、自然免疫からの回避など、様々な生命現象に関わっています。

このようなRNA修飾がncRNAの機能を規定する作動エレメントとして働いているかどうかを検討するため、各種ncRNAを生化学的に精製して高感度質量分析を行い、RNA修飾の化学構造及び修飾部位の同定を行います。新規のRNA修飾については、修飾酵素を生化学的に精製することにより、生合成経路を明らかにします。

さらには、RNA修飾を特異的に認識するタンパク質(Reader)を同定して詳細な細胞内局在解析や機能解析を行い、ncRNA作動装置の形成と機能のために必要なRNA修飾を同定します。また、RNA修飾によって機能が獲得されたncRNA作動装置の生理的な役割を解明することによって、RNA修飾の化学特性に基づいたncRNAケミカルタクソノミを確立します。さらには、修飾塩基を特異的に認識する抗体や化合物を用い、RNA修飾をゲノムワイドに解析するための新しい技術開発も行います。

 

鈴木 勉 (SUZUKI, Tsutomu)
  • 東京大学
  • 工学系研究科
  • 教授

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