【計画研究6】ncRNA作動装置構築の分子動態解析基盤の開発

代表的なncRNAであるsiRNAは、Argonaute (Ago)タンパク質と会合し、RISCと呼ばれるRNA-タンパク質複合体を形成することにより、配列依存的に標的mRNAを切断しその発現を抑制します。これがRNA干渉と呼ばれる現象です。RISCの形成は、siRNAがAgoに自発的に取り込まれて起こるのではなく、Hsc70/Hsp90を中心とするシャペロンマシナリーの働きによるAgoのダイナミックな構造変化が必須であると考えられます。

近年、一本鎖RNAを含んだヒトや酵母のAgoの結晶構造から、形成されたRISCの安定なスナップショットが明らかにされましたが、そこに至るまでの過程、すなわち、小分子RNAとAgoがシャペロンマシナリーの力を借りながらRISCを形成するまでの、中間状態の順序や構造変化の詳細、あるいはそれら各ステップに必要なタンパク質因子やsiRNAの化学特性などは不明です。

本研究では、泊らが独自に開発したRISC形成の試験管内再構成系をもとに、RISCが組みたてられる一連の過程を、一分子イメージング法によって観察することにより、siRNA作動装置であるRISCの構築と作動における動的基盤を理解します。さらには、arcRNAを含む様々なncRNA-タンパク質複合体形成の分子動態を解析する汎用的な技術の開発を目指します。

 

泊 幸秀 (TOMARI, Yukihide)
  • 東京大学
  • 定量生命科学研究所
  • 教授

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多田隈 尚史 (TADAKUMA, Hisashi)

  • 大阪大学
  • 蛋白質研究所
  • 助教

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