中枢神経系において神経幹細胞と運動ニューロンに限局した発現パターンを有するRNA結合蛋白質のHITS-CLIP解析を行い、標的遺伝子群に対する選択的スプライシング制御メカニズムと新規の神経幹細胞性維持に関わるRNA作動エレメントを介したシグナル経路を同定しました。その一方で、予想以上に機能未知のオーファン CLIPedクラスターがイントロン領域及びインタージェニック領域に存在することが明らかになりました。その一部は、Circular RNAの生合成、mirtronの制御に分類され、その他はlong non-coding RNA、enhancer RNAを含む核内non-coding RNA (ncRNA)への作用機序をもつものと類推されています。そこで、本研究では自己複製能を有する神経幹細胞と最終分裂を終えた運動ニューロンにおけるHITS-CLIPマップを比較しながら、細胞コンテクスト特異的なncRNA作動エレメントとncRNA制御機構を分類し、全く性質の異なる二つの細胞におけるncRNA作動エレメントと生理学的機能の解明を目指します。