【公募研究9】非コードRNAとの結合を介したMediator複合体による転写制御機構の解明

近年の網羅的解析により、ゲノムの80%以上の領域からRNAが転写され、そのほとんどがタンパク質をコードしない非コードRNA (ncRNA)であることが明らかとなりました。その多くは依然として機能不明ですが、一部は転写制御に関与していると考えられます。しかし、ncRNAと転写制御因子との結合様式や作動様式が不明瞭なものが多く、機能が解明されたものはごく一部に限られています。Mediator複合体は転写開始時にプロモーター領域にリクルートされる転写制御因子であり、MED12サブユニットを含むキナーゼモジュールが機能上中心的な役割を担っています。近年Mediator複合体は、MED12と長鎖ncRNAとの結合を介して、転写を促進することが少数例で報告されました。しかし、結合するncRNAの種類や規模など未解決点も多いのが現状です。このため本研究では、Mediator複合体に結合するncRNAを網羅的に同定し、その性状からMediator複合体の機能を推定し、実験的な検証を通して、ncRNAとの結合を介した転写制御の分子機構を詳細に解明することを目指します。

河原 行郎 (KAWAHARA, Yukio)
  • 大阪大学
  • 医学系研究科神経遺伝子学
  • 教授

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