【計画研究3】ncRNAの細胞内局在に基づいたネオタクソノミの確立

RNAポリメラーゼIIによって転写されるmRNAや様々なncRNAが、どのように細胞内で選別され、機能するのかは不明です。そこで、ncRNAの細胞内局在の決定機構に注目し、その特異性を指標にしたncRNAタクソンを確立します。

研究代表者の塩見は、生殖ゲノムの保持に関わるPIWI-interacting RNA(piRNA)の前駆体を取り上げます。piRNAは、Yb bodyやNuageといった細胞内構造体で前駆体のncRNAからプロセシングを受け、それによって作動装置であるpiRNA RISCが形成されまする。そこで、piRNA前駆体を特異的に認識し細胞内構造体に運ぶためのRNA配列を同定し、そこに結合するタンパク質による細胞内局在の決定機構を解明します。

研究分担者の大野は、RNA輸送経路の観点からmRNAとncRNAの選別機構を研究します。mRNAは核外輸送を受けるが、ncRNAには核に留まるものがあります。そこで、これまで手つかずのmRNAとncRNAの仕分け機構を明らかにします。そのために、哺乳類細胞の核に豊富に存在するarcRNAなどのncRNAに焦点を合わせ、一般的なmRNA結合タンパク質がそれらncRNAに結合しているかどうかについてのカタログを作成します。ncRNAから排除されている特異的なタンパク質が見つかれば、その排除に働くncRNAの配列や構造を同定し、その識別機構を明らかにします。

これらの解析を通して、ncRNAの生合成過程の分子識別機構を規定する作動エレメントを同定し、ncRNAネオタクソノミに基づいた機能解析を進めます。 

塩見 美喜子 (SIOMI, Mikiko)
  • 東京大学
  • 理学系研究科
  • 教授

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大野 睦人 (OHNO, Mutsuhito)
  • 京都大学
  • ウイルス研究所
  • 教授

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