【公募研究9】X染色体不活性化を制御する新規non-codingRNAの解析

近年、哺乳類ではタンパク質をコードしないnon-coding RNA(ncRNA) が発生、分化、病気などの生命現象に深く関わっていることが明らかになってきました。この内200塩基以上の長いncRNA(long non-coding RNA, lncRNA)は哺乳類の発生に必須な「ゲノムインプリント」や「X染色体の不活性化」等のエピジェネティックな現象に関与し注目されています。しかし、個体レベルで生理機能が明らかになっているものは稀で、その役割の解明が求められている状況です。これまで我々はゲノムインプリントを受けて父親由来のX染色体からのみ発現するlncRNAを複数同定することに成功しています。それらlncRNAがどのような機能を持つのか?を調べるためKOマウスを作製したところ、ほぼ雌の個体でのみ異常が観察され、雌雄間で表現型の性差が見られるマウスがいることを突き止めました。本研究では、KOマウスを用いて①lncRNAの生理機能、作用機序の詳細を明らかにし、② なぜ表現型が性差を示すのか?について検証したいと考えています。生理機能を示すlncRNA KOの解析は、lncRNAの作用機構を理解するうえで重要な手がかりとなると期待されます。

小林 慎 (KOBAYASHI, Shin)
  • 産業技術総合研究所
  • 研究員
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