【公募研究2】立体構造から理解するRNAタクソノミ

RNAサイレンシングとよばれる遺伝子発現抑制機構は原核生物から高等真核生物まで保存された重要な生命現象のひとつです。RNAサイレンシングの共通原理は、非コードRNAが特定のタンパク質とリボヌクレオプロテイン複合体を形成し、ガイド分子として機能することですが、その分子メカニズムは生物種によって多種多様です。例えば、真核生物ではArgonauteタンパク質がsiRNA、miRNA、piRNAといった小分子非コードRNAと複合体を形成し、標的遺伝子の分解や翻訳抑制を引き起こします。一方、原核生物においてはCasタンパク質がcrRNAとよばれる非コードRNAと複合体を形成し、外来核酸からの生体防御を担っています。本研究では、RNAサイレンシングの中核因子であるリボヌクレオプロテイン複合体の結晶構造を決定し、その多様な作動原理を原子レベルで解明します。

西増 弘志 (NISHIMASU, Hiroshi)
  • 東京大学
  • 理学系研究科
  • 助教

プロフィールを表示