【公募研究4】非コード小分子RNAによるヘテロクロマチン形成メカニズム

トランスポゾンは、正常な個体発生や生命の次世代継承にとっての重大な脅威となります。こうした遺伝子を選択的に抑制する因子として、PIWI-interacting RNA (piRNA)と呼ばれる、生殖組織で発現する非コード小分子RNAが知られています。私はこれまでの公募研究成果として、piRNAとPIWIタンパク質の複合体によるトランスポゾンの発現抑制が、複数のパスウェイが制御するクロマチン凝集によるものであることを明らかにしてきました。これを受けて現在、piRNA-PIWI複合体はゲノムの三次構造やヒストン修飾の制御を介したヘテロクロマチン形成により、遺伝子発現プロファイルをダイナミックに変動させていると考えています。本研究では、PIWI-piRNAが形成するクロマチン状態の包括的な解析と関連因子のスクリーニングをオミクス解析技術により行い、さらに、個々の因子の詳細な機能解析を生化学実験により行うことで、核内非コード小分子RNAによる高次クロマチン構造変換の「作動装置」の解明を目指します。

岩崎 由香 (IWASAKI, Yuka)
  • 慶應義塾大学
  • 医学部分子生物学教室
  • 専任講師

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