【公募研究6】lncRNAのエピゲノム制御に基づく大腸癌形成能獲得機構の解明

lncRNAが発生や幹細胞性の維持、癌化に重要な役割を果たすことが明らかとなってきました。私たちは、大腸癌の腫瘍形成能を制御する新規lncRNAとしてUPAT (UHRF1 Protein Associated Transcript) を同定しました。また、大腸癌において、UPATがエピゲノム制御因子であるUHRF1と結合することを見出しました。さらに、UPATがβTrCP依存的なUHRF1のユビキチン化を阻害して安定化させることによって、大腸癌の腫瘍形成能を維持していることを明らかにしました。しかし、UPAT -UHRF1複合体としての機能については、未だ不透明のままです。UHRF1は、DNAのメチル化やハイドロキシメチル化、及びヒストン修飾を認識して転写を制御することが知られています。今後は、UPAT -UHRF1複合体によるエピゲノム制御を介した転写制御機構を明らかにすることによって、UPAT -UHRF1複合体がもたらす大腸癌形成能維持の分子機構及び生理的意義を解明することを目指します。

谷上 賢瑞 (TANIUE, Kenzui)
  • 東京大学
  • 分子細胞生物学研究所
  • 助教

プロフィールを表示