【公募研究5】エンハンサーRNAの体系的分類と作動原理に関する統合的研究

エンハンサーは、遺伝子の時空間的発現パターンを規定する重要な非コードゲノム領域です。わたしたちヒトのゲノムにコードされるタンパク質コード遺伝子が2万数千個であるのに対して、これらの遺伝子の発現を調節するエンハンサーの個数は10万個以上と言われています。近年の大規模シーケンス技術の発展により、ゲノムのどこにエンハンサーとして機能しうる領域があるかを一挙に同定できるようになりました。一方で、個別のエンハンサーの機能を解明することは、様々な技術的制約のために容易ではありません。生命の設計図であるゲノムの読み出し方を規定するエンハンサーの機能をひとつひとつ明らかにすることは、ゲノム科学の究極のゴールのひとつとも言えます。ごく最近になって、エンハンサーRNA (enhancer RNA: eRNA)と呼ばれる非コードRNAがエンハンサーから転写されており、エンハンサー活性の制御に関与していることが分かってきました。ところが、eRNAの全体構造の体系的な特徴付けは未だなされておらず、eRNAがエンハンサー制御のどの素過程で機能しているかは不明です。本研究では、大規模シーケンスとインフォマティクスを活用して、eRNAのゲノムワイドな特徴付けを行います。また、ゲノム編集技術を活用して、eRNAの作用機序を解明します。

河岡 慎平 (KAWAOKA, Shinpei)
  • ATR
  • 主任研究員
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